「一度見たものは忘れない・・・とか?」
「まさか、そんなに頭は良くないですよ。何回調べたと思ってるんですか、同じ言葉――・・・
あぁ、この言葉さっき調べたんだけどなぁ・・・って思うから、余計に凹むんですよ、私の記憶力のなさに」
「でも、あれだけの本を読むなんて凄いわ!直ぐに、練習ができる様になるわね!」
「本当に――姫がスノーの教育をするんですか?」
訝しげにエイシアがライラ姫に問いかける
「・・・何よ、文句あるの?エイシア」
「姫は姫らしく――つまらなくても勉強をですね」
エイシアは言いにくそうにそういった。
この世界には珍しい魔女であるライラに勉強をといったところで、説得力も何もあったものではない
「何も知らない人間の方が遥かに多いんですから、人間の姫の様に振舞って頂かないと・・・
面倒なのは重々承知しておりますが――」
「分かってるわよ。適当にやるっていつも言っているでしょう?」
多分、エイシアが言いたいのはその"適当"がまずいんだという事だろう
「さぁ、私は図書館に戻りますね」
「あまり無理はするなよ」
「ありがとう。でも、少し無理しないと、読めないんだよね、あの本」
「スノー、あの本の中身本当に分かってるのか?」
シルバに問われて私はちょっと焦る
「・・・半分は自信ない。いや、それ以上は自信ないかも。読むことに意味があるんだよ、たぶん。
全部は覚えてないけど、何を読んだかは半分くらい覚えているから、
言われれば思い出すし...」
「なんだ、俺とあんまり変わらないのか。安心した」
「シルバは全く内容を把握してないでしょ!」
シルバの言葉にライラ姫が突っ込む
「シルバは魔力がないんでしょう?だったら、私みたいに必死に勉強する必要はあまりないんじゃない?」
「そうも行かないわ。魔法に対する背景や、諸外国の魔力に対する認識、その他魔法関係の歴史や経済を理解してこそ、他国との貿易なんかが行えるの。
それも踏まえて騎士団は組織してあるのだから、理解してもらわないと事件でも起こしたら大変!シルバみたいに魔力のない人間でも、理解だけはしてもらわないと・・・ね?シルバ?」
「ッ・・・そうですね」
ライラ姫に話を振られて、戸惑うシルバ。何かあったのか、それとも相当苦手なのか
「エイシアは?こういうの得意?」
「俺は、得意かどうかは別として、とりあえず何が書いてあるか位は暗記しているよ。まぁ、サーシャと結婚後は役に立つだろうさ」
「そう・・・?」
私の国は、魔法に関しては一切と言っていいほど触れていない。そのことについて誰も疑問を持たないで過ごしてきたけれど、
自分の魔法や魔力に対する無知さでこんなに困るくらいなら、少しくらい教育方針を変えてもらいたいところだ。
私はこの勉強で分かったことは、まだ龍族についてのほんの一部分。
「龍族は、どうしてあんなに桁外れの魔力を持っているの?」
その魔力のお陰で、大きな争いもなくここ何百年かは過ごしてきたけれど、その前には国が起こした戦争で、龍族の圧倒的勝利を手にしたって書いてあった。
これは、千年戦争とか言われるみたいだけれど、何故か私の学校ではやらなかった。
何故?
どうして?
習うと、都合が悪いことがあった?
それは私に関係している気がするのは、私が龍の血を受け継いでいるからって分かったから?
「スノー、今日は満月よ。月光浴は魔力を高めやすくするし、集中力もつく
今夜、庭でやる?」
「あ、はい!是非!」
「じゃあ、俺も!」
「アンタは見回りでもしてなさいッ!」
「えぇッ!?それはエイシアがやれば」
「だったら、エイシアと二人で見回りなさい!」
「・・・姫様の仰せのままに」
「・・・ままにぃ」
まるで子供だ。
エイシアは彼の態度に苦笑を、私は、笑みを零した
それから私はまた図書館に戻って読みかけの本を読む
なんだか昔から知っていたような妙な気分になるのは、本の書き方の所為だろう
魔法について分かったのは、
やはり、魔力が強ければ強いほど、強力な魔法が使えること
魔法は、魔力と集中力と詠唱で発動する。
否、詠唱は集中力を高める為のもので、熟練者は詠唱なしでも魔法が使えるらしい。
ライラ姫の場合、ここまで達しているんだろう
「魔法・・・か」
私にも使えるものなんだろうか?
そういえば、魔力を持った人間は、他の事も出来ると書いてあった。
精霊を使役できる"召喚"だ。
これは、精霊との相性で決まるから、魔力が高い弱いは関係ないらしい
と、本には書いてあったが疑わしい。
魔力がなければ召喚できないが、魔力のないものとも仲良くなる場合があるらしい事も書いてあった
「だったら、シルバは誰にでも好かれそうだな・・・姫以外には」
自分で口に出して、少し笑ってしまった
「あ〜・・・終わんない。これが絵本だったら良かったのにぃ」
その場に分厚い本を置いて、グッと伸びをする
そういえば、昔はよく兄さんに絵本を読んでもらったなぁ・・・
「・・・もう、読んでもらえないなぁ――って、もう大人だから、読んでもらう事も元々ないか」
少し、涙がこみ上げてきて
グッと堪えた
泣いたってどうにもならないし、あの時――パーティの日に沢山泣いたじゃないか
「・・・淋しいよ、兄さん」
私、これからちゃんとやっていけるかな?
彼らに迷惑掛けまくってるけど、嫌われない?
ねぇ・・・
傍にいて
私のこと守ってよ――昔みたいにさ
涙が零れそうになった時、扉が開く音がして、慌てて本を直そうとしたら、逆に大量に床に落としてしまった
私は盛大に溜息をついて、扉を見やる
ソコには、シルバがいた。
「だ――大丈夫か?なんか凄い音がしたけど」
「大量に落としただけなんで大丈夫です・・・」
私は、落とした本を一冊ずつ机に上げていく。
こうやって見ると、随分と読んだ気がする。
「今、大丈夫か?忙しいなら後で――」
「いや、あまりの量に嫌になってたところですよ」
私は苦笑しながら言うと、シルバは頭をポリポリと掻いた
「その・・・ずっとちゃんと謝ってなかったなって思ってさ。
スノーのお兄さんのこと」
「ッ・・・別に、シルバが悪いわけじゃ」
何てタイミングが悪いんだろうか?
今まさに、思い出すのは止めようと思ったところなのに
「謝りたいんだ。本当に・・・ゴメン。
許されるなんて思ってないけど謝りたくて――。
ゴメン、思い出させて・・・いやな思いさせるって分かってたけど・・・
俺、自己中だよな。でも、俺――他になんていえばいいか分からなくて」
私を見てそう言ったシルバ。
「泣くな・・・って無理だよな。」
「い・・・今・・・調度思い出しちゃってた時だったから・・・
ゴメン」
涙があふれて
止まらなくて
シルバは何も言わずに、私の肩を抱いてくれた
特にそれ以上する事もなく
ただ
ただ
そこにいてくれた
兄さん
淋しいよ
帰ってきて?
母さん
父さん
ありがとうもゴメンも何も言えてないよ
言わせてよ
それで
ちゃんと返事してよ
一目ぐらい見たかったよ
私、一人ぼっちになっちゃうの?
家族は
お母さんとお父さんと兄さんしかいないんだよ?
「ゴメン」
この人は悪くない
悪くないけど・・・
「・・・ゴメンって・・・謝るなら、返してよッ!!
返してくれないなら、謝らないでよッ!!
謝らないで、平然と『俺は悪くない』って顔で私の前にいてよ!!!
じゃないと・・・じゃないと」
わたし
「シルバに・・・当たっちゃうじゃない」
シルバは私を抱きしめてくれて、私は彼の胸で泣いた
母さん
父さん
兄さん
会いたい
淋しい
哀しい
だけど、泣くのは今日で終わりにするね。
ゴメンね
忘れるわけじゃないけど
泣いてたって仕方ないから
迷惑掛けるだけだから
頑張って生きるよ。
私のお父さんとお母さんは二人ずついるけれど
忘れたりなんてしないよ
「明日から――ううん、今夜からちゃんとがんばるから・・・」
「今は泣けるだけ泣けばいいさ」
2008年04月07日
修行2
ニックネーム 邑稀 at 19:23| Comment(0)
| 蒼い月
2007年11月13日
修行1
ここは、王宮内にある魔道図書館だ。
「でも、修行って最初はどんなことするんですか?」
「そうねぇ、普通なら知識を頭に入れて実戦なんだけど」
「魔道書とか見るって事ですか?」
「そうね。そういう事」
スノーの問いに、うなずくとライラは図書館にある本を1冊取り上げると、スノーの前に置いた
「とりあえず、今日はコレ1冊読めればいいんじゃないかな。頑張って、難しい本だから」
「この本以外は使っちゃダメなんですか?調べたい言葉とかあったら――」
「あぁ、別に何でも見ていいわよ。もし今日中にこの本を読み終えるようなことがあったなら、竜のことでも調べるといいわ」
「あ――はい」
ライラはそれだけ言うと出て行ってしまった。
スノーは基本的に本を読むことは好きだ。すきなのだが、時間を忘れて読むクセがある。
スノーが本を読み始めて直ぐに、分からない単語が出てきた。その意味を調べるべく、他の本を探す。探し当てた本を見つつ、ライラに渡された本を読み進めるが、どうにも先ほどの本に載っていない単語がある。また探す――コレの繰り返しであるために、常に3〜4冊の本がスノーの周りに開いてあった
「ん〜〜〜―――流石にちょっと休憩!」
気が付くと、読み始めた時間から5時間は経っている。
タイミングを見計らったかのようにエイシアがやってきた。
「はかどっているのか?姫に聞いたが、難しいだろう、その本は。シルバは3分で寝たぞ」
「シルバらしい!中々先に進まなくて――」
スノーが苦笑すると、エイシアは開かれている本に注目した。
「なんだ、相当読んでいるのか?これじゃあ――」
「だって、分からない言葉ばかりなんだもの。私の国では魔法は無いから、こういう教育はされてこなかったの。ここに来てアダになったなぁ」
苦笑交じりに説明するスノーを見たエイシアだが、それよりも気になることがあった
「全体で何ページ読んだんだ?」
「全体で――って?」
「だから、今日読んだ本のトータルページだ」
「いや、分からないよ、そんなの。本自体は10冊ほどお世話になっているけれど」
そう言って、足元においてある本を数え、机の上においてある本を数えるスノー
「―――大したものだな。知能も高いのか」
「?」
エイシアが自嘲気味に言った言葉の意味が分からないスノーはきょとんとしてエイシアをみた
「それよりも、そろそろ昼だか間食だか分からないが、何か食べろ。もたないぞ」
「あ――はい。」
スノーは素直に従った。
姫にどの位読んだか話すと、彼女はスノーを褒め称えた
「でも、修行って最初はどんなことするんですか?」
「そうねぇ、普通なら知識を頭に入れて実戦なんだけど」
「魔道書とか見るって事ですか?」
「そうね。そういう事」
スノーの問いに、うなずくとライラは図書館にある本を1冊取り上げると、スノーの前に置いた
「とりあえず、今日はコレ1冊読めればいいんじゃないかな。頑張って、難しい本だから」
「この本以外は使っちゃダメなんですか?調べたい言葉とかあったら――」
「あぁ、別に何でも見ていいわよ。もし今日中にこの本を読み終えるようなことがあったなら、竜のことでも調べるといいわ」
「あ――はい」
ライラはそれだけ言うと出て行ってしまった。
スノーは基本的に本を読むことは好きだ。すきなのだが、時間を忘れて読むクセがある。
スノーが本を読み始めて直ぐに、分からない単語が出てきた。その意味を調べるべく、他の本を探す。探し当てた本を見つつ、ライラに渡された本を読み進めるが、どうにも先ほどの本に載っていない単語がある。また探す――コレの繰り返しであるために、常に3〜4冊の本がスノーの周りに開いてあった
「ん〜〜〜―――流石にちょっと休憩!」
気が付くと、読み始めた時間から5時間は経っている。
タイミングを見計らったかのようにエイシアがやってきた。
「はかどっているのか?姫に聞いたが、難しいだろう、その本は。シルバは3分で寝たぞ」
「シルバらしい!中々先に進まなくて――」
スノーが苦笑すると、エイシアは開かれている本に注目した。
「なんだ、相当読んでいるのか?これじゃあ――」
「だって、分からない言葉ばかりなんだもの。私の国では魔法は無いから、こういう教育はされてこなかったの。ここに来てアダになったなぁ」
苦笑交じりに説明するスノーを見たエイシアだが、それよりも気になることがあった
「全体で何ページ読んだんだ?」
「全体で――って?」
「だから、今日読んだ本のトータルページだ」
「いや、分からないよ、そんなの。本自体は10冊ほどお世話になっているけれど」
そう言って、足元においてある本を数え、机の上においてある本を数えるスノー
「―――大したものだな。知能も高いのか」
「?」
エイシアが自嘲気味に言った言葉の意味が分からないスノーはきょとんとしてエイシアをみた
「それよりも、そろそろ昼だか間食だか分からないが、何か食べろ。もたないぞ」
「あ――はい。」
スノーは素直に従った。
姫にどの位読んだか話すと、彼女はスノーを褒め称えた
ニックネーム 邑稀 at 18:55| Comment(0)
| 蒼い月
2007年10月18日
風の冷たい、穏やかな午後
「私の正体を・・・私が何なのかを教えてください」
「スノー・・・一つだけいっておくわ。私が言えるのは私が知っている事だけ。私が知っている事は、経験した事か、夢で見たことだけ・・・
全てを知っているわけではないし、ましてや夢に出てきた相手が何を思ってそうしたのか・・・ソレは分からない」
「・・・ソレでも、私について知っている事があるのなら」
「スノー・・・お前、どうして」
「シルバには関係ない―・・・」
私はシッカリとした口調でそういった。
これ以上、彼らに迷惑はかけてはいけない
「スノー・・・貴方はね」
「「「・・・」」」
「龍と人のハーフなの」
「ハー・・・フ?」
じゃあ、母親は人って事?
「貴方の父は、そのカイリと名乗った男が言った様に龍族でしょうね。ただ、母親は人間だから・・・」
「?だからなんです?」
「龍族の魔力に勝てずに、貴方を産んで直ぐになくなっているの。貴方を育てたあの家族は、貴方の母親の妹家族よ」
「お母さん達が・・・?」
少しだけ安心した・・・他人じゃなかった事実に
「これからいう事は私が夢で見たこと。だから、全てを知っているわけではないわ」
「分かっています・・・」
貴方の父親と母親は異種族間での恋愛をしていた。ただ、異種族というだけで意思の疎通が出来ないわけではないし、二人とも本当に愛し合っていたの。
だけど、周りは反対した。特に龍族はね。
人間は龍族にとって低俗だから余計なのね。
貴方の母親は稀に見る魔力の持ち主だから、あまり酷くされなかったようだけれど、歓迎もされなかった。
そんな二人を応援していたのが、母方の妹よ。つまり、貴方を育てたお母さん
貴方を身ごもった母親は、人間も龍族も手の出せないどこか森の奥の様な場所に引き篭もる事にしたのね。
その世話をしに、時々妹も来ていたみたい。
ただ、父親は高い地位に就いていたみたいで、中々くる事は出来なかった
それでも、使いの鳥や何かを使って、手紙のやり取りを頻繁にしていた
そして、待望の貴方が生まれて、母親は亡くなった。
貴方は妹が引き取って、そして今に至るの。
父親は、貴方が産まれ、貴方の母親が亡くなったのを見届けると、悲しみに暮れたまま帰ってしまった。
いえ、帰らざるを得なかった・・・
もし、貴方を引き取ってつれて帰ったら、反対していた奴らに殺される可能性もあったし、見た目が人だから、人間として育てた方がいいと判断したの。その判断は実際に正しかった。
見た目が人って言うのは、竜族ではないってことね。
それから何があったかはよく分からないけど、他の奴ら・・・そう、カイリの上にいたやつらが反乱みたいなのを起こして、致命傷を負った。
「でも、カイリは殺したって・・・」
「そうね・・・でも多分、カイリは勘違いしているんじゃないかしら?」
「勘違い?」
一体何を勘違いするのだろうか?
「龍族はどちらも死ねば宝石の様なものになる。彼が消えたとき、一つの石がそこに残った。でも、それは彼のではなかった。彼が持っていたものだったのよ・・・
彼は、一瞬の隙をついて貴方の元に向かった・・・」
「なぜ・・・勘違いを?」
「分からないけれど、ソレが彼だという確信みたいのがあったんじゃないかしら。でも、その石にはほとんど魔力がなかった。だから、最初は疑ったみたいだけど、ふとある可能性に気づいた」
「・・・魔力をスノーに託した?」
「あら、エイシア察しがいいのね」
「普通、そうは思わないだろ!大体、魔力を誰かに託す事なんて―・・・」
「出来るほどの人物・・・いえ、龍だったのよ、彼は」
「じゃあ、その石は?」
「分からないけど・・・私が思うに身内ではないかしら。
コレは直感だけど、貴方のお姉さんかお兄さんか・・・どちらにしろ、小さいうちに亡くなった身内だと思うの。じゃなきゃ、魔力がない説明がつかないし、大事に持っている説明もつかない」
「・・・」
何ていっていいか分からずに俯いていると、姫は先を続ける
どちらにしろ、死んだと思っているのだから、それ以上は探さなかった。
死の証拠にその石をもって行った
彼は貴方の所に行くと、義妹の所にいった。もちろん、死ぬ前に貴方を見るためにね・・・
彼は貴方を見ると覚悟を決めたわ
「そして、彼は死んだ。死んだ直後に石になり、その石はスノー、貴方の中に」
「私の中!?」
「・・・その存在には気づいていないみたいだし、どこにあるのかもわからないけれど、確実に貴方の中に入っているの」
「・・・ソレがあると何かあるの?私に悪影響があるとか・・・」
「元々魔力の強いスノーが持てば鬼に金棒・・・なハズなんだけど、今はその威力を全く発揮していないから、これから先なにかあるって事もなさそうなんだけどね・・・」
「発揮した時は、私は・・・どうなるの?」
「肉体が耐えられるなら龍と同等の魔力が得られる。」
「耐えられなかったら、死ぬのかッ!?」
私よりも早く、シルバが叫んだ
「だから、威力が発揮されないのかもね・・・」
私にそんなもの・・・
そんなの・・・
「私が知っているのはここまで・・・知ってよかった?」
「・・・えぇ」
知らなきゃよかった事実
でも、知らなきゃいけない事実
「・・・そうだ!忘れてた・・・うちの国の風止めてるのは龍なの!?」
うっかり忘れそうになっていた、一番大事な質問
「・・・スノーって時々、凄いなと思うときがあるよ」
「あ、俺も・・・」
エイシアとシルバが言った。どういう意味よ、それ・・・
「クスッ・・・立ち直り早い子は私、好きよ?そうね・・・その風は、この森に住んでいるどこぞのおバカさんが意地悪しているみたい。あの国の王子様にね・・・」
苦笑しながらライラ姫は言った。
「知り合いですか?」
「まぁ・・・ね。知り合いといえば、知り合いの様な気もしなくもないわ」
「姫、嫌いなんですか?ソイツの事」
シルバが真っ直ぐに聞いた
「嫌いじゃないわよ、係わり合いになりたくないだけ。それに、あいつ魔法を使えないやつを蛙以下だと思ってるからね、
シルバは行かないほうが良いと思うけど」
楽しくなさそうに良いながら、紅茶を口にした姫は、何かを少し悩んでいた
「風を戻しに行くんでしょう?」
「ぇ?えぇ・・・まぁ、当初の目的がそれですから。ね?エイシア」
「あぁ、忘れがちだがな・・・」
苦笑しながらエイシアは言った
「さっきも言ったけど、あいつ・・・カシというんだけど、カシは魔法が使えないと取り合わないの。いくら魔力が強くても、魔法が使えなきゃいけないのよ・・・」
「・・・ソレはつまり、私に使える様になれという事ですか?」
「じゃなきゃ、エイシア一人で行くかのどちらかね」
姫様は行かないんだ・・・
「私はアイツに今の姿を見られるのが嫌だから、絶対に行かないけどね」
一体どんな人なんだろう・・・名前からするに、男の人っぽいけど
「魔法使いなんですよね?」
「魔法使いのクセに研究者なのよ、あの男」
「・・・??」
「で、どうするの!?エイシアは一人でも平気?」
「ついでですから、魔法の練習も兼ねてスノーの特訓に付き合いますよ。
姫がスノーに付きっきりなのも心配ですからね」
「ちょっと、それどういう意味よ!騎士団の仕事もしなさい、騎士団の仕事も!」
龍族・・・私の中にはその血が流れている
父はどういう人だったのだろうか?
母はきっと、お母さんみたいな人だったと思う。
どうして死ななければいけなかったの?
私の所為?
ごめんね・・・おとうさん
「スノー・・・一つだけいっておくわ。私が言えるのは私が知っている事だけ。私が知っている事は、経験した事か、夢で見たことだけ・・・
全てを知っているわけではないし、ましてや夢に出てきた相手が何を思ってそうしたのか・・・ソレは分からない」
「・・・ソレでも、私について知っている事があるのなら」
「スノー・・・お前、どうして」
「シルバには関係ない―・・・」
私はシッカリとした口調でそういった。
これ以上、彼らに迷惑はかけてはいけない
「スノー・・・貴方はね」
「「「・・・」」」
「龍と人のハーフなの」
「ハー・・・フ?」
じゃあ、母親は人って事?
「貴方の父は、そのカイリと名乗った男が言った様に龍族でしょうね。ただ、母親は人間だから・・・」
「?だからなんです?」
「龍族の魔力に勝てずに、貴方を産んで直ぐになくなっているの。貴方を育てたあの家族は、貴方の母親の妹家族よ」
「お母さん達が・・・?」
少しだけ安心した・・・他人じゃなかった事実に
「これからいう事は私が夢で見たこと。だから、全てを知っているわけではないわ」
「分かっています・・・」
貴方の父親と母親は異種族間での恋愛をしていた。ただ、異種族というだけで意思の疎通が出来ないわけではないし、二人とも本当に愛し合っていたの。
だけど、周りは反対した。特に龍族はね。
人間は龍族にとって低俗だから余計なのね。
貴方の母親は稀に見る魔力の持ち主だから、あまり酷くされなかったようだけれど、歓迎もされなかった。
そんな二人を応援していたのが、母方の妹よ。つまり、貴方を育てたお母さん
貴方を身ごもった母親は、人間も龍族も手の出せないどこか森の奥の様な場所に引き篭もる事にしたのね。
その世話をしに、時々妹も来ていたみたい。
ただ、父親は高い地位に就いていたみたいで、中々くる事は出来なかった
それでも、使いの鳥や何かを使って、手紙のやり取りを頻繁にしていた
そして、待望の貴方が生まれて、母親は亡くなった。
貴方は妹が引き取って、そして今に至るの。
父親は、貴方が産まれ、貴方の母親が亡くなったのを見届けると、悲しみに暮れたまま帰ってしまった。
いえ、帰らざるを得なかった・・・
もし、貴方を引き取ってつれて帰ったら、反対していた奴らに殺される可能性もあったし、見た目が人だから、人間として育てた方がいいと判断したの。その判断は実際に正しかった。
見た目が人って言うのは、竜族ではないってことね。
それから何があったかはよく分からないけど、他の奴ら・・・そう、カイリの上にいたやつらが反乱みたいなのを起こして、致命傷を負った。
「でも、カイリは殺したって・・・」
「そうね・・・でも多分、カイリは勘違いしているんじゃないかしら?」
「勘違い?」
一体何を勘違いするのだろうか?
「龍族はどちらも死ねば宝石の様なものになる。彼が消えたとき、一つの石がそこに残った。でも、それは彼のではなかった。彼が持っていたものだったのよ・・・
彼は、一瞬の隙をついて貴方の元に向かった・・・」
「なぜ・・・勘違いを?」
「分からないけれど、ソレが彼だという確信みたいのがあったんじゃないかしら。でも、その石にはほとんど魔力がなかった。だから、最初は疑ったみたいだけど、ふとある可能性に気づいた」
「・・・魔力をスノーに託した?」
「あら、エイシア察しがいいのね」
「普通、そうは思わないだろ!大体、魔力を誰かに託す事なんて―・・・」
「出来るほどの人物・・・いえ、龍だったのよ、彼は」
「じゃあ、その石は?」
「分からないけど・・・私が思うに身内ではないかしら。
コレは直感だけど、貴方のお姉さんかお兄さんか・・・どちらにしろ、小さいうちに亡くなった身内だと思うの。じゃなきゃ、魔力がない説明がつかないし、大事に持っている説明もつかない」
「・・・」
何ていっていいか分からずに俯いていると、姫は先を続ける
どちらにしろ、死んだと思っているのだから、それ以上は探さなかった。
死の証拠にその石をもって行った
彼は貴方の所に行くと、義妹の所にいった。もちろん、死ぬ前に貴方を見るためにね・・・
彼は貴方を見ると覚悟を決めたわ
「そして、彼は死んだ。死んだ直後に石になり、その石はスノー、貴方の中に」
「私の中!?」
「・・・その存在には気づいていないみたいだし、どこにあるのかもわからないけれど、確実に貴方の中に入っているの」
「・・・ソレがあると何かあるの?私に悪影響があるとか・・・」
「元々魔力の強いスノーが持てば鬼に金棒・・・なハズなんだけど、今はその威力を全く発揮していないから、これから先なにかあるって事もなさそうなんだけどね・・・」
「発揮した時は、私は・・・どうなるの?」
「肉体が耐えられるなら龍と同等の魔力が得られる。」
「耐えられなかったら、死ぬのかッ!?」
私よりも早く、シルバが叫んだ
「だから、威力が発揮されないのかもね・・・」
私にそんなもの・・・
そんなの・・・
「私が知っているのはここまで・・・知ってよかった?」
「・・・えぇ」
知らなきゃよかった事実
でも、知らなきゃいけない事実
「・・・そうだ!忘れてた・・・うちの国の風止めてるのは龍なの!?」
うっかり忘れそうになっていた、一番大事な質問
「・・・スノーって時々、凄いなと思うときがあるよ」
「あ、俺も・・・」
エイシアとシルバが言った。どういう意味よ、それ・・・
「クスッ・・・立ち直り早い子は私、好きよ?そうね・・・その風は、この森に住んでいるどこぞのおバカさんが意地悪しているみたい。あの国の王子様にね・・・」
苦笑しながらライラ姫は言った。
「知り合いですか?」
「まぁ・・・ね。知り合いといえば、知り合いの様な気もしなくもないわ」
「姫、嫌いなんですか?ソイツの事」
シルバが真っ直ぐに聞いた
「嫌いじゃないわよ、係わり合いになりたくないだけ。それに、あいつ魔法を使えないやつを蛙以下だと思ってるからね、
シルバは行かないほうが良いと思うけど」
楽しくなさそうに良いながら、紅茶を口にした姫は、何かを少し悩んでいた
「風を戻しに行くんでしょう?」
「ぇ?えぇ・・・まぁ、当初の目的がそれですから。ね?エイシア」
「あぁ、忘れがちだがな・・・」
苦笑しながらエイシアは言った
「さっきも言ったけど、あいつ・・・カシというんだけど、カシは魔法が使えないと取り合わないの。いくら魔力が強くても、魔法が使えなきゃいけないのよ・・・」
「・・・ソレはつまり、私に使える様になれという事ですか?」
「じゃなきゃ、エイシア一人で行くかのどちらかね」
姫様は行かないんだ・・・
「私はアイツに今の姿を見られるのが嫌だから、絶対に行かないけどね」
一体どんな人なんだろう・・・名前からするに、男の人っぽいけど
「魔法使いなんですよね?」
「魔法使いのクセに研究者なのよ、あの男」
「・・・??」
「で、どうするの!?エイシアは一人でも平気?」
「ついでですから、魔法の練習も兼ねてスノーの特訓に付き合いますよ。
姫がスノーに付きっきりなのも心配ですからね」
「ちょっと、それどういう意味よ!騎士団の仕事もしなさい、騎士団の仕事も!」
龍族・・・私の中にはその血が流れている
父はどういう人だったのだろうか?
母はきっと、お母さんみたいな人だったと思う。
どうして死ななければいけなかったの?
私の所為?
ごめんね・・・おとうさん
ニックネーム 邑稀 at 16:36| Comment(0)
| 蒼い月
2007年10月17日
確認とこれから2
「おいしい?ね、スノー!おいしい!?」
「おいしいですよ」
クスクスと笑いながら答えると、王様が咳払いをした
「ライラ、しゃべるのは食べてからにしなさい」
「・・・は〜い」
なんだか、昨日の事が嘘のようにゆっくりとした時間だ
「ご馳走様です・・・あの、本当にありがとうございます。私なんかにこんなに良くしていただいて」
「あら、いいのよ。ライラも貴方の事を凄く気に入っているし、私達もライラの相手をしないで楽なのよ?」
「お母様、酷〜い!」
「それで、今日はどうするつもりなのかね?」
「ぁ・・・今日は、ライラ姫に聞きたい事がいくつかありまして」
「そうか・・・ライラ、付き合いなさい」
「当たり前でしょ!」
何故かヤケに朝から機嫌のいい姫様は、食べ終わると私を部屋に引き摺るようにして連れて行った
「・・・で、これは?」
「お城に居るんだから、スノーもお姫様気分で!」
ニコニコしながら言われて、私の目の前のクローゼットにもの凄い数のドレス
「・・・これ」
「お母様のよ!昔着ていたやつなんですって!」
姫様が張り切っていらっしゃった理由はコレですか?
「・・・コレ着てくれなきゃ、話を聞いてあげないんだから」
拗ね気味にそういわれると、反論が出来ませんが・・・
「・・・切ればいいんですか?」
「やった!どれにする!?これ?それとも・・・これ!?」
嬉しそうなのはいいのだけれど、私は着せ替え人形じゃないんだけどなぁ・・・
「これ!この青と赤とどっちがいいと思う?」
「姫、私似合いませんよ?」
苦笑しながら答えるが、まったく聞いちゃいない
「・・・ひめ―・・・」
「ライラ姫!スノーはここに居るんだろ!?」
勢い良く扉を開けて入ってきたのはシルバ。
場所が場所なだけに、明けた瞬間言葉を失っている。
「着替えてなくてよかった」
「変態」
「ごめんなさい」
全ての言葉がぴったりと重なった
「あ、もしかして!俺のためにスノーがドレスアップして―・・・」
「バカじゃないの?あんたいっぺん死んできなさいよ」
「・・・ひめ?」
「酷ッ!」
冷たく言い放つ姫に私は少し引く
「大体、女の子の着替えの現場に侵入してきて、言う言葉がソレ!?」
「ぇ・・・あ、ここ着替える部屋だっけ!?」
へらへらと笑うシルバに私は溜息を吐いた
「シルバ・・・そろそろ逃げたほうが身のためだよ?」
「スノー、私が逃がすと思っているの?」
「・・・・・・諦めろ、シルバ。今日が暗い日でも、きっと明日は明るいよ」
訳の分からない慰めをしつつ、私は軽く姫の後ろに身を隠すように避けた
その瞬間、姫の手から炎が上がる
「ゲッ!俺が魔法苦手なの知ってるだろ!?」
「知ってるからこそやるんじゃない!覚悟しなさいよ・・・」
瞳を鈍く光らせて、フフフと笑う姫は"魔女"そのものだと思った
「さ、今日はコレにしましょう?」
「・・・着たら、私の質問に答えてくれます?」
「もちろん!」
言われて渋々と着替えをする。もちろんいろんな人に手伝ってもらわないと着れないわけだけれども・・・
「ん〜・・・その水色のひらひらも可愛いけど、ピンクも捨てがたいわね」
「コレで何着目だと思ってるんですか?もう、お昼になっちゃいますよ?」
「だってぇ・・・あ、でもピンクはシルバ受けするからやめましょう!お昼はね、騎士団の上3人と一緒に食べる決まりなの。天気が良いからお庭でね」
上三人?
「なんですか?上3人って」
「騎士団長1人・副騎士団長2人・・・あ、それから賢者が1人だから4人ね・・・あ、でも騎士団員じゃないから、3人でいいのかしら?」
「賢者・・・姫様が居るのに?」
「あぁ、二人に聞いたのね。でも、私は魔女って事になってないの。ただのお姫様よ・・・ただのね」
「賢者・・・だったら、私の正体が分かる?」
「残念、私の正体にも気づけないような賢者じゃダメよ・・・まぁ、直感では分かっているようだけど、検証できなきゃね」
賢者では力不足・・・なら、やっぱり
「姫様、私の正体を教えてください!このままじゃ、私・・・」
何がしたいのか・・・何が出来るのかがよく分からない
身の振り方も考えなきゃいけないのに
「本当に知りたいの?」
「・・・えぇ、知らなければいけない事だと思っています」
「分かった」
諦めたようにポツリと肯定するライラ姫
「その代わり、お昼ご飯を食べた後にしましょう。そこにストーカーさんも待ってることだ、しッ!?」
思いっきり窓に向かって何かを投げる姫。窓の外で"いてっ"と声が聞えた
「・・・覗き魔め」
ボソリと呟く姫がちょっと怖かった
「スノーかわいい」
「そ・・・そんな事ない///あんまり見な―・・・」
「スノーに近づくんじゃないわよ、この覗き魔!」
なんだかもの凄くご機嫌が悪い姫
ぽかぽか叩いていて傍から見ると可愛らしいけど、的確に急所を吐いているようにも見えるのが怖い
「ちょ、何で俺ばっかり・・・最後はエイシアも居たのに」
「どうせエイシアは巻き込まれただけでしょ!
大体シルバ、サーシャを甘く見ると後で泣くわよ?彼女、怒ると怖いんだから・・・」
論点が少しずれているような・・・
「それに、あんたエイシアと同じ歳なのに婚約者だって居ないんだから、別に何しようが平気でしょ?
ソレこそ、ゲイの男にほ―・・・「もういいッ!止めてください、ライラお姫様!俺が・・・このわたくし、シルバが悪ぅございましたぁッ!!」
土下座して一生懸命頭を下げているシルバに、騎士団長と云う威厳も何もあったもんじゃない
ここまで低姿勢な騎士団長という立場の人を、私は初めて見たかもしれない・・・
「さ、スノー行きましょう?」
私は姫に手を握られ(掴まれ?)、歩き出しす。私達の後ろには、ボロボロに打ちひしがれるシルバ・・・哀れだ
「でね、お母様!酷いの、この男!」
「ライラ、ちゃんと騎士団長とかシルバとか役職や名前で呼んであげなさい」
お后様にたしなまれつつも、あまり言葉遣いは変わらないお姫様は強い
どうやら王様は諦めたご様子である
お昼ごはんの席だというのに落ち着きがないところを見れば、子供に見える。それらしく、振舞っているんだろう
「姫、早く食べましょうよ。シルバはいいから・・・私、そろそろ食べ終わりますよ」
「スノーの言うとおりですよ。私達は、シルバを除いてほぼ食べ終わってます」
「う〜・・・だって、シルバが」
私とエイシアが言ってもまだ食い下がる姫
「俺、もう昼飯食いたい・・・」
あ、シルバが泣きそう
「仕方ないなぁ・・・」
シルバの一言が聞いたのか、そういって姫は、静かに黙々と昼食を口にし始めた
数十分後、私達の昼食は漸く終わりを告げ、午後のひと時を楽しんでいた
「お日様ぽかぽかで気持ちイイね、スノー!」
「そうですね・・・このままずっとこうしていたいくらい」
「さて・・・私達は部屋に戻るとするか。お前達も落ち着いたら城に入りなさい」
「またね、ライラ」
「はぁい、お父様、お母様!」
王様とお后様は、ライラにキスをして行ってしまった
「さて・・・スノー、本当にいいのね?」
「教えてください・・・知りたいんです。どうしても」
私は真っ直ぐに姫を見ると、彼女は口を開いた
「おいしいですよ」
クスクスと笑いながら答えると、王様が咳払いをした
「ライラ、しゃべるのは食べてからにしなさい」
「・・・は〜い」
なんだか、昨日の事が嘘のようにゆっくりとした時間だ
「ご馳走様です・・・あの、本当にありがとうございます。私なんかにこんなに良くしていただいて」
「あら、いいのよ。ライラも貴方の事を凄く気に入っているし、私達もライラの相手をしないで楽なのよ?」
「お母様、酷〜い!」
「それで、今日はどうするつもりなのかね?」
「ぁ・・・今日は、ライラ姫に聞きたい事がいくつかありまして」
「そうか・・・ライラ、付き合いなさい」
「当たり前でしょ!」
何故かヤケに朝から機嫌のいい姫様は、食べ終わると私を部屋に引き摺るようにして連れて行った
「・・・で、これは?」
「お城に居るんだから、スノーもお姫様気分で!」
ニコニコしながら言われて、私の目の前のクローゼットにもの凄い数のドレス
「・・・これ」
「お母様のよ!昔着ていたやつなんですって!」
姫様が張り切っていらっしゃった理由はコレですか?
「・・・コレ着てくれなきゃ、話を聞いてあげないんだから」
拗ね気味にそういわれると、反論が出来ませんが・・・
「・・・切ればいいんですか?」
「やった!どれにする!?これ?それとも・・・これ!?」
嬉しそうなのはいいのだけれど、私は着せ替え人形じゃないんだけどなぁ・・・
「これ!この青と赤とどっちがいいと思う?」
「姫、私似合いませんよ?」
苦笑しながら答えるが、まったく聞いちゃいない
「・・・ひめ―・・・」
「ライラ姫!スノーはここに居るんだろ!?」
勢い良く扉を開けて入ってきたのはシルバ。
場所が場所なだけに、明けた瞬間言葉を失っている。
「着替えてなくてよかった」
「変態」
「ごめんなさい」
全ての言葉がぴったりと重なった
「あ、もしかして!俺のためにスノーがドレスアップして―・・・」
「バカじゃないの?あんたいっぺん死んできなさいよ」
「・・・ひめ?」
「酷ッ!」
冷たく言い放つ姫に私は少し引く
「大体、女の子の着替えの現場に侵入してきて、言う言葉がソレ!?」
「ぇ・・・あ、ここ着替える部屋だっけ!?」
へらへらと笑うシルバに私は溜息を吐いた
「シルバ・・・そろそろ逃げたほうが身のためだよ?」
「スノー、私が逃がすと思っているの?」
「・・・・・・諦めろ、シルバ。今日が暗い日でも、きっと明日は明るいよ」
訳の分からない慰めをしつつ、私は軽く姫の後ろに身を隠すように避けた
その瞬間、姫の手から炎が上がる
「ゲッ!俺が魔法苦手なの知ってるだろ!?」
「知ってるからこそやるんじゃない!覚悟しなさいよ・・・」
瞳を鈍く光らせて、フフフと笑う姫は"魔女"そのものだと思った
「さ、今日はコレにしましょう?」
「・・・着たら、私の質問に答えてくれます?」
「もちろん!」
言われて渋々と着替えをする。もちろんいろんな人に手伝ってもらわないと着れないわけだけれども・・・
「ん〜・・・その水色のひらひらも可愛いけど、ピンクも捨てがたいわね」
「コレで何着目だと思ってるんですか?もう、お昼になっちゃいますよ?」
「だってぇ・・・あ、でもピンクはシルバ受けするからやめましょう!お昼はね、騎士団の上3人と一緒に食べる決まりなの。天気が良いからお庭でね」
上三人?
「なんですか?上3人って」
「騎士団長1人・副騎士団長2人・・・あ、それから賢者が1人だから4人ね・・・あ、でも騎士団員じゃないから、3人でいいのかしら?」
「賢者・・・姫様が居るのに?」
「あぁ、二人に聞いたのね。でも、私は魔女って事になってないの。ただのお姫様よ・・・ただのね」
「賢者・・・だったら、私の正体が分かる?」
「残念、私の正体にも気づけないような賢者じゃダメよ・・・まぁ、直感では分かっているようだけど、検証できなきゃね」
賢者では力不足・・・なら、やっぱり
「姫様、私の正体を教えてください!このままじゃ、私・・・」
何がしたいのか・・・何が出来るのかがよく分からない
身の振り方も考えなきゃいけないのに
「本当に知りたいの?」
「・・・えぇ、知らなければいけない事だと思っています」
「分かった」
諦めたようにポツリと肯定するライラ姫
「その代わり、お昼ご飯を食べた後にしましょう。そこにストーカーさんも待ってることだ、しッ!?」
思いっきり窓に向かって何かを投げる姫。窓の外で"いてっ"と声が聞えた
「・・・覗き魔め」
ボソリと呟く姫がちょっと怖かった
「スノーかわいい」
「そ・・・そんな事ない///あんまり見な―・・・」
「スノーに近づくんじゃないわよ、この覗き魔!」
なんだかもの凄くご機嫌が悪い姫
ぽかぽか叩いていて傍から見ると可愛らしいけど、的確に急所を吐いているようにも見えるのが怖い
「ちょ、何で俺ばっかり・・・最後はエイシアも居たのに」
「どうせエイシアは巻き込まれただけでしょ!
大体シルバ、サーシャを甘く見ると後で泣くわよ?彼女、怒ると怖いんだから・・・」
論点が少しずれているような・・・
「それに、あんたエイシアと同じ歳なのに婚約者だって居ないんだから、別に何しようが平気でしょ?
ソレこそ、ゲイの男にほ―・・・「もういいッ!止めてください、ライラお姫様!俺が・・・このわたくし、シルバが悪ぅございましたぁッ!!」
土下座して一生懸命頭を下げているシルバに、騎士団長と云う威厳も何もあったもんじゃない
ここまで低姿勢な騎士団長という立場の人を、私は初めて見たかもしれない・・・
「さ、スノー行きましょう?」
私は姫に手を握られ(掴まれ?)、歩き出しす。私達の後ろには、ボロボロに打ちひしがれるシルバ・・・哀れだ
「でね、お母様!酷いの、この男!」
「ライラ、ちゃんと騎士団長とかシルバとか役職や名前で呼んであげなさい」
お后様にたしなまれつつも、あまり言葉遣いは変わらないお姫様は強い
どうやら王様は諦めたご様子である
お昼ごはんの席だというのに落ち着きがないところを見れば、子供に見える。それらしく、振舞っているんだろう
「姫、早く食べましょうよ。シルバはいいから・・・私、そろそろ食べ終わりますよ」
「スノーの言うとおりですよ。私達は、シルバを除いてほぼ食べ終わってます」
「う〜・・・だって、シルバが」
私とエイシアが言ってもまだ食い下がる姫
「俺、もう昼飯食いたい・・・」
あ、シルバが泣きそう
「仕方ないなぁ・・・」
シルバの一言が聞いたのか、そういって姫は、静かに黙々と昼食を口にし始めた
数十分後、私達の昼食は漸く終わりを告げ、午後のひと時を楽しんでいた
「お日様ぽかぽかで気持ちイイね、スノー!」
「そうですね・・・このままずっとこうしていたいくらい」
「さて・・・私達は部屋に戻るとするか。お前達も落ち着いたら城に入りなさい」
「またね、ライラ」
「はぁい、お父様、お母様!」
王様とお后様は、ライラにキスをして行ってしまった
「さて・・・スノー、本当にいいのね?」
「教えてください・・・知りたいんです。どうしても」
私は真っ直ぐに姫を見ると、彼女は口を開いた
ニックネーム 邑稀 at 14:31| Comment(0)
| 蒼い月
確認とこれから・・・
「・・・良かった、無事だったんだ」
「・・・あぁ。アイツはあの後、直ぐにどっかに行っちまった。」
悔しそうにシルバが言った。
何かあったんだろうか?
「あの・・・ごめんなさい、迷惑ばっかり掛けてしまって」
「別に迷惑なんて思ってないさ。強いて言うなら、迷惑なのはあのカイリとかいう龍族の野郎だし」
かいり
嫌な名前・・・
紅い名前
「スノー?どうした・・・気分でも悪いのか」
「え?」
私は慌ててシルバを見る
「え・・・って、眉間にこ〜〜〜んなにしわ寄せて」
「そんなにしわ寄せてないですよ!」
「いや、寄せてた。俺はしっかり見たぞ」
二人で暫くふざけあっていたら、扉がなった
「スノー、起きたのか?」
「エイシア・・・」
苦笑して、肩を竦めると、幾分ホッとしたような顔でエイシアは私を見た
「それで・・・ここに来るって事は、何か話があるんでしょう?」
「・・・ききたい事が山ほどある。だけど、今ここで聞いても仕方がないからな。当の本人はいないわけだし・・・」
「・・・カイリ」
「察しがいいな」
自嘲気味に笑うエイシアに気づかない振りして、先を促した
「見たことのあるやつだったのか?」
「いいえ、まったく見た事なんてない。ただ、アイツは私の父を殺した・・・と」
きっと"カイリ"と同じように、キレイに笑って殺したんだろう
「父親?」
「私の親は・・・龍族の族長・・・と言っても、隣の国限定だと思うけど・・・」
「スノー、お前は龍族の組織を知らないのか?」
「え?」
私の言葉にシルバが口を挟んだ
「龍の長はな、その国々で決まってるだろ?但し、龍族で一番えらいッつー奴はいないんだよ。要するに、国々の長達は全て対等の立場にある。一番上は、その国の長だ。
てことは、あの龍が言ってる事が本当だとしたら、お前の父親に当たる龍は、龍族の族長の中の一人で、最高権力者って事になる
因みに、個々の国の族長は、法律みたいなものを決めるが、基本的には何かない限り、他の奴らのやることには口を挟んだりしない。
流石に統治する上で面倒な事があったりすると、話は別みたいだけどな」
「・・・権力が欲しくて殺したって事?」
「無きにしも非ず・・・だな」
今度は、エイシアが口を開く
「ただ、きっとそのカイリとやらは、言われて殺したんだろうな」
「だろうな・・・普通は、族長様になんぞたてつかないからな」
私はいわれて、思い出す
「彼は彼の親をとても怖がっていた。だからきっと・・・親に言われたのね・・・」
「スノー?」
「私・・・龍族なのかな?エイシア」
「・・・俺ではなく姫に聞く事だ」
「姫に?・・・何故」
何故姫に聞けというのだろうか?もしかして、姫も一枚かんでいるとか・・・
「姫は人ではない。魔女だ・・・本人は隠しているつもりだろうが、分るやつには分るからな。それに、今は姫本人も俺達が知っている事を知っていると思う」
姫が・・・魔女?
「そういえば、スノーの父親を殺したっていってたんだよな?カイリのやつ。だったら、その後はどうしたんだ?」
「後?何かあるの?殺した後って・・・」
シルバの言葉の意味が分らない。私の国は、龍族に関わり合いのない国なだけあって、龍に関する知識がほとんどない。
学校で教わるのは、恐ろしく凶暴な種族が龍族で(多分コレも間違っている)こんな国で、どういう習慣をしていて・・・
なんて事を、少しかじる程度だ。知識はあってないようなもの
「本当に知らないのかよ・・・あのな、龍ってのは、死んだ後、直ぐにその身体が変化して、宝石の様なものに変わるんだ」
「・・・宝石?」
「あぁ・・・そして、強いものは価値がとても高くなる。だから、もし龍族の長が死んだ後の遺体・・・つか、石ッつか・・・まぁ、ソレを人に売ると、多分大きな国一つ買える金額くらいにはなる」
「国・・・一つ!?」
あまりの金額に、私は言葉が出なかった
「そうだ・・・ただ、普通龍族はそんな下卑た事はせずに、形見として身に着けたり家宝にしたり、墓に埋めてしまったりするらしいけどな」
「それに、その核ともいえるその石には、生前の魔力が宿っているともいわれているんだ。実際には知らないけどな・・・見た事無いし。
その辺も含めて、ライラ姫に確認取ったほうがいいんじゃないか?それに・・・」
「それに?」
「多分、あのお姫様ならなんでお前の国の風が止まったかも分ると思うぜ?知ってるけど、教えてあげな〜い・・・みたいなノリだと思うもん、俺」
「シルバ・・・ソレはちょっと酷くない?」
「スノーはそういうけど、エイシアは俺の言わんとしている事分るよな!?」
少し頼りなさげに、眉が微妙にハの字に下がっている
エイシアはといえば、知らないを突き通す様子だ
その様子に私は笑ってしまった
いつもの雰囲気に段々戻ってくる。でも、これはきっと気遣い
「まって・・・、ね・・・ゴメン、私・・・私はこれから一体何をすればいいの?」
頭が混乱してきた
「ライラに聞けばいい。知りたいこと全てを聞けば、自分が何をすればいいかが分かるさ」
「・・・姫にきけば」
「とりあえず、今日はもう寝ることだな。ソレが一番優先順位高いと思うぜ?」
「ぁ・・・うん//」
無邪気に笑ってみせるシルバに少し戸惑いつつも、私は布団にもぐった。
「えと・・・じゃあ、私、寝るね?」
「あぁ、お休み。何かあると困るから、騎士団長様を見張りに立たせておくよ」
「ぇ・・・あ、ちょっと待て―・・・」
シルバが抗議するまもなく、エイシアは出て行ってしまった。
「ったく・・・」
だけど、シルバは出て行くつもりもないらしい
「?・・・部屋で休まないの?」
「・・・ライラに脅されてんだよ、見張りしろって。寝たら、給料カットだろ、多分」
文句を言いながらドカッと椅子に座ったシルバを見て私は笑ってしまった
「とりあえず、今日はぐっすり眠って、明日聞きたい事をライラに聞けばいいさ・・・だろ?」
「うん・・・お休み」
「あぁ・・・」
目を瞑って数十秒後、私の意識は落ちた
『ほら、らく〜になったでしょ?』
『助・・・助けて・・・く・・・』
血に塗れた綺麗な少年は、私に向かって微笑んだ
『あれ?どっからまぎれてきちゃったの?』
『・・・ぁ・・・その・・・私―・・・』
恐怖で声が上手く出来ない。説明も出来ない
何故私はあの扉を開いてしまったのだろうか?
『さぁ、お帰り?・・・そうだ、君の名前を聞いておこう』
血に塗れてニッコリ嗤う彼の手には血まみれの剣
足元には血で出来た水溜り
綺麗な、綺麗な金色の髪、その血とは真逆の深い深い蒼い瞳
『君はだぁれ?僕はカイリ』
『私は・・・』
自分の名前を言う直前にバタンと扉が開かれた
扉の方には、兄が立っていて、言葉もなくその光景に立ち尽くしていた
『おや、邪魔が入ってしまったね。では、また後で』
ニッコリと綺麗な顔で綺麗に笑う彼は、私に背を向けて違う扉から出て行った
その瞬間、兄が私に飛びつく様に駆け寄り、怪我はないかとか大丈夫かとか、色々と心配していた
やけに耳に残る声は、次第に龍の声になる
流暢な人語だった・・・
『あれ?気づいてないだけ?』
『半分は龍でしょ?』
『またね』
断片的に思い出す彼の顔、声・・・そして
「スノーッ!」
「ッ!?」
目を開けると、心配そうにシルバが私を覗き込んでいる
周りを見ると陽が差していた。もう朝なんだ・・・
「大丈夫か?うなされていたみたいだけど・・・」
「へぇき」
にへらと笑って、ごまかして見ると、こちらの意図を察したのかシルバは案外簡単に心配するのをやめた
「とりあえず、起きて着替えて・・・朝ごはんにしよう。団の食堂に―・・・」
「スノー、おはよう!よく寝れた?ね、朝ごはん一緒に食べよう!?」
バタンと凄い勢いで扉が開かれ、話し中のシルバを押しのけライラ姫が私のベッドに手をかけ、身を乗り出しながら元気いっぱいに言った
「ぁ・・・はい」
呆気にとられながらも、私は返事をしてしまった
「ライラ姫!俺が先に誘ったんだ!」
「何よ、たかが騎士団長の癖に生意気ね。私は姫なのよ!?この国のお・ひ・め・さ・ま!!」
「・・・・・・はい↓」
流石のシルバも諦めたようだ・・・
騎士団長になったくらいじゃ、まだまだ扱いは変わらないらしい・・・
「・・・あぁ。アイツはあの後、直ぐにどっかに行っちまった。」
悔しそうにシルバが言った。
何かあったんだろうか?
「あの・・・ごめんなさい、迷惑ばっかり掛けてしまって」
「別に迷惑なんて思ってないさ。強いて言うなら、迷惑なのはあのカイリとかいう龍族の野郎だし」
かいり
嫌な名前・・・
紅い名前
「スノー?どうした・・・気分でも悪いのか」
「え?」
私は慌ててシルバを見る
「え・・・って、眉間にこ〜〜〜んなにしわ寄せて」
「そんなにしわ寄せてないですよ!」
「いや、寄せてた。俺はしっかり見たぞ」
二人で暫くふざけあっていたら、扉がなった
「スノー、起きたのか?」
「エイシア・・・」
苦笑して、肩を竦めると、幾分ホッとしたような顔でエイシアは私を見た
「それで・・・ここに来るって事は、何か話があるんでしょう?」
「・・・ききたい事が山ほどある。だけど、今ここで聞いても仕方がないからな。当の本人はいないわけだし・・・」
「・・・カイリ」
「察しがいいな」
自嘲気味に笑うエイシアに気づかない振りして、先を促した
「見たことのあるやつだったのか?」
「いいえ、まったく見た事なんてない。ただ、アイツは私の父を殺した・・・と」
きっと"カイリ"と同じように、キレイに笑って殺したんだろう
「父親?」
「私の親は・・・龍族の族長・・・と言っても、隣の国限定だと思うけど・・・」
「スノー、お前は龍族の組織を知らないのか?」
「え?」
私の言葉にシルバが口を挟んだ
「龍の長はな、その国々で決まってるだろ?但し、龍族で一番えらいッつー奴はいないんだよ。要するに、国々の長達は全て対等の立場にある。一番上は、その国の長だ。
てことは、あの龍が言ってる事が本当だとしたら、お前の父親に当たる龍は、龍族の族長の中の一人で、最高権力者って事になる
因みに、個々の国の族長は、法律みたいなものを決めるが、基本的には何かない限り、他の奴らのやることには口を挟んだりしない。
流石に統治する上で面倒な事があったりすると、話は別みたいだけどな」
「・・・権力が欲しくて殺したって事?」
「無きにしも非ず・・・だな」
今度は、エイシアが口を開く
「ただ、きっとそのカイリとやらは、言われて殺したんだろうな」
「だろうな・・・普通は、族長様になんぞたてつかないからな」
私はいわれて、思い出す
「彼は彼の親をとても怖がっていた。だからきっと・・・親に言われたのね・・・」
「スノー?」
「私・・・龍族なのかな?エイシア」
「・・・俺ではなく姫に聞く事だ」
「姫に?・・・何故」
何故姫に聞けというのだろうか?もしかして、姫も一枚かんでいるとか・・・
「姫は人ではない。魔女だ・・・本人は隠しているつもりだろうが、分るやつには分るからな。それに、今は姫本人も俺達が知っている事を知っていると思う」
姫が・・・魔女?
「そういえば、スノーの父親を殺したっていってたんだよな?カイリのやつ。だったら、その後はどうしたんだ?」
「後?何かあるの?殺した後って・・・」
シルバの言葉の意味が分らない。私の国は、龍族に関わり合いのない国なだけあって、龍に関する知識がほとんどない。
学校で教わるのは、恐ろしく凶暴な種族が龍族で(多分コレも間違っている)こんな国で、どういう習慣をしていて・・・
なんて事を、少しかじる程度だ。知識はあってないようなもの
「本当に知らないのかよ・・・あのな、龍ってのは、死んだ後、直ぐにその身体が変化して、宝石の様なものに変わるんだ」
「・・・宝石?」
「あぁ・・・そして、強いものは価値がとても高くなる。だから、もし龍族の長が死んだ後の遺体・・・つか、石ッつか・・・まぁ、ソレを人に売ると、多分大きな国一つ買える金額くらいにはなる」
「国・・・一つ!?」
あまりの金額に、私は言葉が出なかった
「そうだ・・・ただ、普通龍族はそんな下卑た事はせずに、形見として身に着けたり家宝にしたり、墓に埋めてしまったりするらしいけどな」
「それに、その核ともいえるその石には、生前の魔力が宿っているともいわれているんだ。実際には知らないけどな・・・見た事無いし。
その辺も含めて、ライラ姫に確認取ったほうがいいんじゃないか?それに・・・」
「それに?」
「多分、あのお姫様ならなんでお前の国の風が止まったかも分ると思うぜ?知ってるけど、教えてあげな〜い・・・みたいなノリだと思うもん、俺」
「シルバ・・・ソレはちょっと酷くない?」
「スノーはそういうけど、エイシアは俺の言わんとしている事分るよな!?」
少し頼りなさげに、眉が微妙にハの字に下がっている
エイシアはといえば、知らないを突き通す様子だ
その様子に私は笑ってしまった
いつもの雰囲気に段々戻ってくる。でも、これはきっと気遣い
「まって・・・、ね・・・ゴメン、私・・・私はこれから一体何をすればいいの?」
頭が混乱してきた
「ライラに聞けばいい。知りたいこと全てを聞けば、自分が何をすればいいかが分かるさ」
「・・・姫にきけば」
「とりあえず、今日はもう寝ることだな。ソレが一番優先順位高いと思うぜ?」
「ぁ・・・うん//」
無邪気に笑ってみせるシルバに少し戸惑いつつも、私は布団にもぐった。
「えと・・・じゃあ、私、寝るね?」
「あぁ、お休み。何かあると困るから、騎士団長様を見張りに立たせておくよ」
「ぇ・・・あ、ちょっと待て―・・・」
シルバが抗議するまもなく、エイシアは出て行ってしまった。
「ったく・・・」
だけど、シルバは出て行くつもりもないらしい
「?・・・部屋で休まないの?」
「・・・ライラに脅されてんだよ、見張りしろって。寝たら、給料カットだろ、多分」
文句を言いながらドカッと椅子に座ったシルバを見て私は笑ってしまった
「とりあえず、今日はぐっすり眠って、明日聞きたい事をライラに聞けばいいさ・・・だろ?」
「うん・・・お休み」
「あぁ・・・」
目を瞑って数十秒後、私の意識は落ちた
『ほら、らく〜になったでしょ?』
『助・・・助けて・・・く・・・』
血に塗れた綺麗な少年は、私に向かって微笑んだ
『あれ?どっからまぎれてきちゃったの?』
『・・・ぁ・・・その・・・私―・・・』
恐怖で声が上手く出来ない。説明も出来ない
何故私はあの扉を開いてしまったのだろうか?
『さぁ、お帰り?・・・そうだ、君の名前を聞いておこう』
血に塗れてニッコリ嗤う彼の手には血まみれの剣
足元には血で出来た水溜り
綺麗な、綺麗な金色の髪、その血とは真逆の深い深い蒼い瞳
『君はだぁれ?僕はカイリ』
『私は・・・』
自分の名前を言う直前にバタンと扉が開かれた
扉の方には、兄が立っていて、言葉もなくその光景に立ち尽くしていた
『おや、邪魔が入ってしまったね。では、また後で』
ニッコリと綺麗な顔で綺麗に笑う彼は、私に背を向けて違う扉から出て行った
その瞬間、兄が私に飛びつく様に駆け寄り、怪我はないかとか大丈夫かとか、色々と心配していた
やけに耳に残る声は、次第に龍の声になる
流暢な人語だった・・・
『あれ?気づいてないだけ?』
『半分は龍でしょ?』
『またね』
断片的に思い出す彼の顔、声・・・そして
「スノーッ!」
「ッ!?」
目を開けると、心配そうにシルバが私を覗き込んでいる
周りを見ると陽が差していた。もう朝なんだ・・・
「大丈夫か?うなされていたみたいだけど・・・」
「へぇき」
にへらと笑って、ごまかして見ると、こちらの意図を察したのかシルバは案外簡単に心配するのをやめた
「とりあえず、起きて着替えて・・・朝ごはんにしよう。団の食堂に―・・・」
「スノー、おはよう!よく寝れた?ね、朝ごはん一緒に食べよう!?」
バタンと凄い勢いで扉が開かれ、話し中のシルバを押しのけライラ姫が私のベッドに手をかけ、身を乗り出しながら元気いっぱいに言った
「ぁ・・・はい」
呆気にとられながらも、私は返事をしてしまった
「ライラ姫!俺が先に誘ったんだ!」
「何よ、たかが騎士団長の癖に生意気ね。私は姫なのよ!?この国のお・ひ・め・さ・ま!!」
「・・・・・・はい↓」
流石のシルバも諦めたようだ・・・
騎士団長になったくらいじゃ、まだまだ扱いは変わらないらしい・・・
ニックネーム 邑稀 at 11:31| Comment(0)
| 蒼い月
2007年09月05日
消毒薬
何で今更、あいつらが来るわけ?
私は腹を立てながら、お父様の部屋へと向かっていた
「姫、爪を噛んではいけませんよ」
「うるさいわねッ!分かってるわよ!」
苛々を隣で注意するエイシアに当り散らして発散しようとする
エイシアがふぅと溜息をついた
「何を知っているんですか?」
「・・・何も分からないからイライラしているのッ!」
「・・・・・・嘘はよくないですよ」
「うるさいわね、エイシアには関係ないのよ!」
私はまた伸びた親指の爪を噛んで苛々を紛らわす
「・・・・・・・・・なんで今更」
「失礼します」
私の独り言を無視して、目的の部屋の扉をノックしながらエイシアが開く
中には、私の父親役の人間と、母親役の人間がいた
「どうした?珍しいな、二人そろってここに来るなんて」
驚いた様子の国王だけど、本当は驚いていない事を知っている私もエイシアも目的を淡々と告げる
もっとも、私はエイシアが話している間、まったく彼の言葉を聞く事はしなかったけれど・・・
エイシアを部屋から追い出して、私は口を開いた
「どうして今更龍族が出てくるのか、全然分からない」
「そうだな・・・ライラは一体何を見た?」
「スノーの父親と母親が殺される所と、スノーを逃がす所。それくらいしか見なかった。ただ・・・スノーは私と境遇が似ている・・・」
本当は、分かっていた。私が執着する理由は、境遇が似ているからだって。それだけだって事くらい・・・
「私だって、お父様とお母様に拾われていなかったら、今頃森の中でひっそりとみんなに恐れられながら歳を重ねたはずよ」
「魔女とは本来なら外に出てこないからな」
「これでも100年は生きたから、それでも良かった気もするけれど・・・
でも、私は貴方達に救われたわ。彼女だってそう。龍族に父親と母親を殺されて、でも、生前の母親は必死でスノーを逃がした。
そして、育ての父母に拾われて・・・幸せに暮らしていたんだわ」
「ライラは私たちと暮らしていて・・・」
「幸せよ。だから、スノーの幸せも分かるつもり!私は、彼女の幸せを壊すやつを絶対に許さない!だから、龍族にだって手出しなんかさせない!」
私は思いを声に出していた。
「だからといって、龍族を出入り禁止にするわけにもいかないしなぁ」
困った様に、お父様は溜息をついた
「後日、対策を練ろう・・・」
「はい・・・」
私は部屋を後にする。
自分の部屋に戻ると、ベッドに倒れこむ
『おいで・・・』
『怖くないわ・・・大丈夫よ』
そういわれて、手を差し伸べられる
そんな夢を見た
私は、実際に捨てられたわけじゃない。それに、100年以上生きているけれど、この肉体で生きているわけでもない。
この肉体は2つ目。
私は、この国の王女の胎児を肉体に選んだ
もう、お腹の中で死んでいた子供に、私が乗り移った。
乗り移る瞬間、さっきの手を差し伸べられる感覚に陥った
とても暖かくて、穏やかで居心地の良いそれは、きっとあの二人の子供への思いだったんだと思う
その思いに拾われたんだと、私は最近思うようになった
もちろん、生まれたての私は言葉も話せるわけもなく、記憶も無かった。
ただ、私は身体を乗り換えるときに、10歳になったら記憶を取り戻す様に仕向けていた
記憶を取り戻した私は、本当のことを告げる
自分は魔女だと。本当の子供は死んだと・・・
それでも彼らは私を本当の子供として育てるといった
それを聞いたとき、私は何故かとても嬉しかった
「好きにさせない・・・させたくない・・・けど」
彼女がもし向こうを取ったら?
私たちは、共存しているようでいて、共存していない所がある
そういう意味でも彼らに疲れるのは困る・・・
でも・・・
彼女の好きにさせてあげたい気持ちもある
なんだか青臭い事を言っている自覚はあるけれど、あの子に自分を重ねてみている事実が、この思いを――・・・
「ライラ」
コンコンと扉を叩く音で、思考の海から一気に抜けてしまった
「はい・・・」
返事をしながらベッドから起きて、扉を開ける
「ライラ・・・大丈夫?」
「平気よ・・・」
私を心配して、抱きしめてくれるお母様
「大丈夫よ、私はお母様より遥かに長生きしているわ」
苦笑しながら言うと、余計にギュッと抱きしめられた
「こんな事くらいしか出来なくてごめんなさいね」
「・・・・・・ありがとう」
私は、思ったことを口にして、ぎゅっと暖かいぬくもりを抱きしめた
私は、"人間らしくなったな"と自嘲気味に思う
「大丈夫、私は大胆不敵に生きるのよ。それに、この国も世継ぎが必要なのだから、そろそろ養子なり何なり取るべきだわ」
「・・・貴方はそんな心配しなくてもいいのよ。本当は、貴方がこの国を継ぐはずなのだから」
母親は私を解放して、じっと目を見つめる
「国王と話したのだけれどね・・・この国は、貴方に継いでもらおうかと思っているの」
「ッ!ダメよ!魔女が国を統治するなんて、国民が許すはずが無いわ!」
私は耳を疑った。
親馬鹿だ、親馬鹿だといつも思ってはいたけれど、まさかここまでとは・・・
「あら・・・普通の人間と結婚すればなんら問題ないと思うけれど」
「王家に魔女がいるって云う状態がまずいんじゃないッ!何のために、こんな子供みたいな行動取っていると思ってるの!?」
「あら、平気よぅ。だって、龍が統治している国だってあるのよ?」
「アレは、皇国民全員龍族でしょう!こっちは、全員人間なんだから、ダメよ。それに、私は継ぐ気はないし」
「えぇ!?無いの!?」
母親のリアクションに、もの凄く頭が痛くなって、溜息が出た。
「もう・・・勘弁してよ。魔女と結婚した瞬間に重罪。そんな罪を国民が放っておいて、私が継承できるはずがないでしょ?」
「じゃあ・・・黙っていれば良いじゃない。嘘もばれなきゃ嘘にはならないでしょ?」
「それ、本当に王妃としての言葉?お母様・・・」
私はあきれ果てて、なんていって良いか分からなくなった
「だってぇ・・・ライラは沢山生きているんだから、私たちよりもずっと上手くこの国を統治できると思うんだけどなぁ・・・」
「あのねぇ・・・まぁ、この話はおいおいしましょう。」
私はそうやって話を切って、王妃を部屋から追い出した。
次にベッドに入り込んだら、直ぐに眠れた
スノーに哀しい思いはさせたくないの
それだけなのよ
私は腹を立てながら、お父様の部屋へと向かっていた
「姫、爪を噛んではいけませんよ」
「うるさいわねッ!分かってるわよ!」
苛々を隣で注意するエイシアに当り散らして発散しようとする
エイシアがふぅと溜息をついた
「何を知っているんですか?」
「・・・何も分からないからイライラしているのッ!」
「・・・・・・嘘はよくないですよ」
「うるさいわね、エイシアには関係ないのよ!」
私はまた伸びた親指の爪を噛んで苛々を紛らわす
「・・・・・・・・・なんで今更」
「失礼します」
私の独り言を無視して、目的の部屋の扉をノックしながらエイシアが開く
中には、私の父親役の人間と、母親役の人間がいた
「どうした?珍しいな、二人そろってここに来るなんて」
驚いた様子の国王だけど、本当は驚いていない事を知っている私もエイシアも目的を淡々と告げる
もっとも、私はエイシアが話している間、まったく彼の言葉を聞く事はしなかったけれど・・・
エイシアを部屋から追い出して、私は口を開いた
「どうして今更龍族が出てくるのか、全然分からない」
「そうだな・・・ライラは一体何を見た?」
「スノーの父親と母親が殺される所と、スノーを逃がす所。それくらいしか見なかった。ただ・・・スノーは私と境遇が似ている・・・」
本当は、分かっていた。私が執着する理由は、境遇が似ているからだって。それだけだって事くらい・・・
「私だって、お父様とお母様に拾われていなかったら、今頃森の中でひっそりとみんなに恐れられながら歳を重ねたはずよ」
「魔女とは本来なら外に出てこないからな」
「これでも100年は生きたから、それでも良かった気もするけれど・・・
でも、私は貴方達に救われたわ。彼女だってそう。龍族に父親と母親を殺されて、でも、生前の母親は必死でスノーを逃がした。
そして、育ての父母に拾われて・・・幸せに暮らしていたんだわ」
「ライラは私たちと暮らしていて・・・」
「幸せよ。だから、スノーの幸せも分かるつもり!私は、彼女の幸せを壊すやつを絶対に許さない!だから、龍族にだって手出しなんかさせない!」
私は思いを声に出していた。
「だからといって、龍族を出入り禁止にするわけにもいかないしなぁ」
困った様に、お父様は溜息をついた
「後日、対策を練ろう・・・」
「はい・・・」
私は部屋を後にする。
自分の部屋に戻ると、ベッドに倒れこむ
『おいで・・・』
『怖くないわ・・・大丈夫よ』
そういわれて、手を差し伸べられる
そんな夢を見た
私は、実際に捨てられたわけじゃない。それに、100年以上生きているけれど、この肉体で生きているわけでもない。
この肉体は2つ目。
私は、この国の王女の胎児を肉体に選んだ
もう、お腹の中で死んでいた子供に、私が乗り移った。
乗り移る瞬間、さっきの手を差し伸べられる感覚に陥った
とても暖かくて、穏やかで居心地の良いそれは、きっとあの二人の子供への思いだったんだと思う
その思いに拾われたんだと、私は最近思うようになった
もちろん、生まれたての私は言葉も話せるわけもなく、記憶も無かった。
ただ、私は身体を乗り換えるときに、10歳になったら記憶を取り戻す様に仕向けていた
記憶を取り戻した私は、本当のことを告げる
自分は魔女だと。本当の子供は死んだと・・・
それでも彼らは私を本当の子供として育てるといった
それを聞いたとき、私は何故かとても嬉しかった
「好きにさせない・・・させたくない・・・けど」
彼女がもし向こうを取ったら?
私たちは、共存しているようでいて、共存していない所がある
そういう意味でも彼らに疲れるのは困る・・・
でも・・・
彼女の好きにさせてあげたい気持ちもある
なんだか青臭い事を言っている自覚はあるけれど、あの子に自分を重ねてみている事実が、この思いを――・・・
「ライラ」
コンコンと扉を叩く音で、思考の海から一気に抜けてしまった
「はい・・・」
返事をしながらベッドから起きて、扉を開ける
「ライラ・・・大丈夫?」
「平気よ・・・」
私を心配して、抱きしめてくれるお母様
「大丈夫よ、私はお母様より遥かに長生きしているわ」
苦笑しながら言うと、余計にギュッと抱きしめられた
「こんな事くらいしか出来なくてごめんなさいね」
「・・・・・・ありがとう」
私は、思ったことを口にして、ぎゅっと暖かいぬくもりを抱きしめた
私は、"人間らしくなったな"と自嘲気味に思う
「大丈夫、私は大胆不敵に生きるのよ。それに、この国も世継ぎが必要なのだから、そろそろ養子なり何なり取るべきだわ」
「・・・貴方はそんな心配しなくてもいいのよ。本当は、貴方がこの国を継ぐはずなのだから」
母親は私を解放して、じっと目を見つめる
「国王と話したのだけれどね・・・この国は、貴方に継いでもらおうかと思っているの」
「ッ!ダメよ!魔女が国を統治するなんて、国民が許すはずが無いわ!」
私は耳を疑った。
親馬鹿だ、親馬鹿だといつも思ってはいたけれど、まさかここまでとは・・・
「あら・・・普通の人間と結婚すればなんら問題ないと思うけれど」
「王家に魔女がいるって云う状態がまずいんじゃないッ!何のために、こんな子供みたいな行動取っていると思ってるの!?」
「あら、平気よぅ。だって、龍が統治している国だってあるのよ?」
「アレは、皇国民全員龍族でしょう!こっちは、全員人間なんだから、ダメよ。それに、私は継ぐ気はないし」
「えぇ!?無いの!?」
母親のリアクションに、もの凄く頭が痛くなって、溜息が出た。
「もう・・・勘弁してよ。魔女と結婚した瞬間に重罪。そんな罪を国民が放っておいて、私が継承できるはずがないでしょ?」
「じゃあ・・・黙っていれば良いじゃない。嘘もばれなきゃ嘘にはならないでしょ?」
「それ、本当に王妃としての言葉?お母様・・・」
私はあきれ果てて、なんていって良いか分からなくなった
「だってぇ・・・ライラは沢山生きているんだから、私たちよりもずっと上手くこの国を統治できると思うんだけどなぁ・・・」
「あのねぇ・・・まぁ、この話はおいおいしましょう。」
私はそうやって話を切って、王妃を部屋から追い出した。
次にベッドに入り込んだら、直ぐに眠れた
スノーに哀しい思いはさせたくないの
それだけなのよ
ニックネーム 邑稀 at 13:50| Comment(0)
| 蒼い月
2007年05月31日
包帯
「ちょっと・・・どういう事?一体何があったの!?」
もの凄い剣幕で、俺の主は怒っている。
まぁ、主と言っても仕事上での主だから、何ともいえないけれど・・・
「それは俺が聞きてぇよ・・・」
スノーの為に用意された俺の部屋の5億倍は豪華絢爛な客用の寝室にある一人で寝るには大き過ぎる程のベッドにそっと、そっと寝かせる。
「何があったかだけ言ってみろ、シルバ」
「龍族のヤツが・・・スノーと話していた。自分でカイリという名だと言っていた。俺が知っているのは、何かを話していたこと。俺を見た瞬間、スノーが気を失った事。カイリがコイツを酷く気に入っている事・・・スノーは俺たちの玩具だと言っていた。
それから知らないのは、どうしてカイリとスノーが庭にいたのか。コイツと何を話していたのか。どうしてコイツの事を気に入ったのか。」
「龍族・・・か」
エイシアが呟いた
別に勝てるとは思わなかった。会った瞬間、勝つのは無理だと思った
だが、負けるとも思わなかった。なのに、何だこの敗北感は・・・
「シルバ、貴方は罰として明日の朝まで寝ずにここでスノーの見張りよ!!寝たりしたらただじゃおかないからね」
「姫、シルバは…」
「エイシアはお父様に報告して来て頂戴。」
ライラ姫は珍しく厳しい口調でいった
「何をしているの、二人とも!早くしなさい、これは命令よ!」
エイシアは渋々と従う
姫もエイシアと一緒に部屋を出ていってしまった
俺は仕方なく近くの椅子に座る
坐り心地がやけに良かったのが、逆に居心地を悪く感じさせた
スノーを見ると、先程と全く変わらない表情で眠っている
そういえば、スノーも銀の髪をしている。肌も白いから真っ白だと見た瞬間に思ったんだ。
か弱い女を連れていると思ったけど、相当強い事が分かって俺は彼女に興味を持った
「まさか……龍族」
それだったら……いや、そうしたらスノーがここにいる意味が分からない。それに、兄は人間だった
「有り得ないな…スノーが龍族だなんて」
俺はスノーの眠っているベッドの端に座った
「ごめんな、守れなくて……怖かったんだよな」
恐怖に戦くスノーの表情を思い出しながら、スノーに…いや、自分に言い聞かせるように謝罪の言葉を口にした
勿論、スノーからの返事なんて無くて、余計虚しさを誘う
「……ん………」
小さな小さなスノーの声が耳に入って来て、反射的にスノーを見ると、苦しそうに眉間に皺を寄せている
寝返りを打って横を向いたスノーの首筋が見えて、ドキリと胸が脈打った
真っ白な肌に浮かぶ真っ赤な痕を見た瞬間、あいつの顔が浮かんできて無性に腹が立った
「…ん………シルバ?」
スノーが目を覚ました
俺を確認すると、ふにゃりと笑った
もの凄い剣幕で、俺の主は怒っている。
まぁ、主と言っても仕事上での主だから、何ともいえないけれど・・・
「それは俺が聞きてぇよ・・・」
スノーの為に用意された俺の部屋の5億倍は豪華絢爛な客用の寝室にある一人で寝るには大き過ぎる程のベッドにそっと、そっと寝かせる。
「何があったかだけ言ってみろ、シルバ」
「龍族のヤツが・・・スノーと話していた。自分でカイリという名だと言っていた。俺が知っているのは、何かを話していたこと。俺を見た瞬間、スノーが気を失った事。カイリがコイツを酷く気に入っている事・・・スノーは俺たちの玩具だと言っていた。
それから知らないのは、どうしてカイリとスノーが庭にいたのか。コイツと何を話していたのか。どうしてコイツの事を気に入ったのか。」
「龍族・・・か」
エイシアが呟いた
別に勝てるとは思わなかった。会った瞬間、勝つのは無理だと思った
だが、負けるとも思わなかった。なのに、何だこの敗北感は・・・
「シルバ、貴方は罰として明日の朝まで寝ずにここでスノーの見張りよ!!寝たりしたらただじゃおかないからね」
「姫、シルバは…」
「エイシアはお父様に報告して来て頂戴。」
ライラ姫は珍しく厳しい口調でいった
「何をしているの、二人とも!早くしなさい、これは命令よ!」
エイシアは渋々と従う
姫もエイシアと一緒に部屋を出ていってしまった
俺は仕方なく近くの椅子に座る
坐り心地がやけに良かったのが、逆に居心地を悪く感じさせた
スノーを見ると、先程と全く変わらない表情で眠っている
そういえば、スノーも銀の髪をしている。肌も白いから真っ白だと見た瞬間に思ったんだ。
か弱い女を連れていると思ったけど、相当強い事が分かって俺は彼女に興味を持った
「まさか……龍族」
それだったら……いや、そうしたらスノーがここにいる意味が分からない。それに、兄は人間だった
「有り得ないな…スノーが龍族だなんて」
俺はスノーの眠っているベッドの端に座った
「ごめんな、守れなくて……怖かったんだよな」
恐怖に戦くスノーの表情を思い出しながら、スノーに…いや、自分に言い聞かせるように謝罪の言葉を口にした
勿論、スノーからの返事なんて無くて、余計虚しさを誘う
「……ん………」
小さな小さなスノーの声が耳に入って来て、反射的にスノーを見ると、苦しそうに眉間に皺を寄せている
寝返りを打って横を向いたスノーの首筋が見えて、ドキリと胸が脈打った
真っ白な肌に浮かぶ真っ赤な痕を見た瞬間、あいつの顔が浮かんできて無性に腹が立った
「…ん………シルバ?」
スノーが目を覚ました
俺を確認すると、ふにゃりと笑った
ニックネーム 邑稀 at 20:29| Comment(0)
| 蒼い月
夜会 その痕
私はシルバが昇進の為の儀を執り行っているのをいい事に、そっとその場を後にした
もっとも華やかな色取り取りのドレスの中、黒ずくめの女が外に出て行くのだから、それはそれで目立つのかもしれないのだけれども
「・・・はぁ」
いくつもある中の、広間からは随分と離れた場所にあるバルコニーに出て、私は空を眺めた
嫌な事なんて全て忘れてしまいそうな位に綺麗な星達が瞬いている
彼は・・・俺が殺した
さっきからシルバの言葉が頭の中でエンドレスに響いている
「やっぱ・・・死んでんじゃん」
やけに声が震えた
星が段々と滲んでいく
耐え切れなくなって、しゃがみ込む
私は泣いた
外からも中からも見えないような隅で
小さく蹲って
声を殺して
その場で泣いた
泣き方なんて忘れていたと思っていたのに、そう簡単に忘れられるものじゃないんだと改めて思う
泣く事に気が済んで、その場に膝を抱えて蹲り、半ば放心状態でいると、大勢の足音が聞えてきた
儀式が終わったんだろう
何となく出辛くなって、その場にいることにした
どうせ見つからない
そう思っていたから余計に出ようと思わなかった
ま、この顔で出られないっていうのが9割方だけれど・・・
『素敵でしたわね』
『えぇ、本当に凛々しいお顔で・・・』
『流石、副騎士団長・・・いえ、もう騎士団長殿ね』
どうやらシルバの話をしているらしい。
決して中身を褒めているのではなく、外見のみを褒めている所がミソだな
そう思ったら、頬が緩んだ
『でも、今日はいつもより愁いを帯びたようなお顔でしたわね』
『そうねぇ。彼はいつもニコニコしているものね』
早く帰れと思うと同時に、彼女達の言葉に聞き耳を立てている自分もいる
『お嬢さん方、もう夜も遅いので早く帰って方がいいですよ』
聞き知った声がした
女達がキャアキャア言って、シルバと話している
こんな所を見られたら、また気を遣われてしまう
『それじゃあ、ごきげんようシルバ様』
誰かがそういうと、他の女達もそれぞれ口にして、踵の高い靴をカツカツと響かせて帰っていった
『シルバ、姫様がお呼びだぞ』
『ゲッ!何の用だよ・・・』
『つべこべ言わずにさっさと行け』
『俺、騎士団長になったんだから、もうちょっと優しくしてくれっての』
ブツブツ文句を言いながら、彼らは何処かへ行ってしまった
行ってしまった事を確認して、私はその場を後にする。
とりあえず、庭に出て気を紛らわせる。
さっきの事なんて忘れようと、庭を散歩した。
季節柄か、色々な花や蕾が色とりどりに庭を飾っていた
ふと気が付くと、庭の端の方へきていたようで、目の前には星が綺麗に映った湖が見えた
「キレイ・・・」
「あんまりそっち行くと危ないよ?」
「ッ!」
その声に慌てて振り向くと、そこには知らない人が立っていた
長い銀の髪 銀の瞳 真っ白な肌 長身の青年
燕尾服に映える、誰もが見とれるような美貌の持ち主
ただ、瞳には何処か冷たい光が映っていた
「・・・お城の・・・ヒト?」
自然と声がこわばった
「違うよ。俺は隣の国・・・と言ってもアルトじゃないけれど、その隣国からやってきたんだ」
「・・・龍族?」
驚いて声をあげると、彼は楽しそうにクスクスと笑っている
背筋に戦慄が走る。恐怖でその場から動けなくなった
「大丈夫だよ、何にもしないって。今日は面白そうな行事があるって聞いて見に来ただけ。君みたいなヒトに出会えるなんてラッキーかな。
あ、半分はヒトじゃないのかな?」
クスクスと笑うその人・・・いや龍は、一歩・・・また一歩と近づいてくる
私は同時に、一歩、また一歩と後ずさる
「ッ!」
「おっと・・・大丈夫?」
つまずいた私を支える彼は、心配そうに私を覗き込む
3メートルは離れていた距離を一瞬でつめる脅威の身体能力に私はなすすべをなくした
「そんなに怖がらないでよ。危害は加えないって・・・それに、半分は同じ種族でしょ?」
「違っ・・・」
何をイッテイルノ?
「あれ・・・・・・でも・・・あ、もしかして気づいてないの?そうか、そうか。じゃあ、仕方ないね」
なんだ、残念。
そういって、私から手を離す
私は動けない
蛇に睨まれた蛙なんて言われるんだろうけど、それどころの問題ではない
本当に動けない
逃げろと警鐘が鳴るけれど、どうしても動けない
「君、名前は?」
「・・・先に名乗りもしないのに他人に名前を聞くわけ?」
精一杯の強がり。彼はクスリと余裕の笑みを見せた
「あぁ、それもそうだね。俺はカイリ・・・人語用の名前でね。恩人の名前なんだ」
「カ・・・イリ・・・?」
名前を聞いた瞬間に、嫌な予感がした。
『僕はカイリ・・・君はだあれ?』
真っ赤な血に染まりながら、そのヒトは聞いた
そのヒトは、片手に血に濡れた剣を持ち、足元には真っ赤に染まった死体があって
綺麗に綺麗に嗤っていた
全身、血に濡れているのに、髪の毛だけが綺麗な金色に輝いていた
「そう、カイリ・・・聞いた事のある名前だった?」
私が知っているその人は・・・
「スノーッ!!??」
私が一歩後ろに退こうとした時に、私を呼ぶ声がして我に返る
カイリと名乗った龍の10m位後ろにシルバの姿が見えた
勢い良く走ってくる
「スノーって君の名前?いい名前だね。先代もやるなぁ」
「せん・・・だい?」
「そうだよ。君のお父さんは、俺達の元龍族長だったんだよ。まぁ、ヒトとの間に子供が出来て、殺されちゃったけどね。ちなみに殺したのは俺ね。」
「こんな所で何してるッ!」
シル・・・バ・・・
私はその声を聞いて、少し安心したと共に、耐え切れなくなって意識を手放しその場に崩れた
庭に誰かがいる。
その誰かに向かい合っているのは、スノーだ!
嫌な予感がして、彼女の名前を大声で呼んだ。
全力で彼女の元に走っていく
チラリと恐怖に固まる彼女の表情が見えた
まさか、何かされたのか!?
「何してるッ!」
俺が叫んだ途端に、スノーはその場に崩れ落ちそうになり、知らない誰かに支えられている。
「おい・・・貴様、こんな所で何をしている!スノーを放せ」
一瞬でヒトではない事に気づいた。
龍族か・・・
少し厄介だなと思いながらも、いつでも剣が抜けるようにしておく
目の前にいる龍族は、そんな事を気にも留めずにスノーを盾の様にして支えている
ただ、危害を加えようとは思っていないようだ
「俺、カイリ。君、この子の恋人?」
「違う。俺の主の大切な人だ」
「なあんだ。でも、好きなんでしょ?俺もこの子の事好きだよ?」
ヒトを見下すような視線でこっちを見てくるカイリ
「ねぇ、名前教えてよ。」
「・・・シルバ」
何を考えているか全く分からないこの男は、俺の名前を聞くと何か考える様に視線を上方に彷徨わせる
「うん、覚えた。あ、俺そろそろ帰らないと怒られるや」
そういうと、カイリはニヤリと笑って、俺の方を向かせていたスノーを自分の方に反転させる
「?」
「でも、スノーは'俺たち'の玩具だから傷なんか付けちゃダメだよ?」
そういうと、スノーの首筋に顔をうずめる
「オイッ!」
止めさせようと手を伸ばした瞬間、勝ち誇ったような視線で、俺を見てくるカイリ。未だに唇を其処から離そうとしない
「ッ!!」
瞬間、俺は剣を抜き一閃する。
ただ、当たらないのは分かっていた。
「危ないなぁ、この子を斬っちゃったらどうするの?」
スノーを抱えて瞬時に近くの木の枝に飛び移ったカイリは、クスクスと笑いながら言い、俺を見下す様に口端を歪めた
木の上からトンと優雅に地面に降りると、カイリは俺の方に歩いてきて、スノーを渡してくる
「このまま君をからかうのも面白そうだけれど、これ以上遊んでいると本当に怒られるからね。外出禁止になっちゃう。だから、今日は貸してあげる」
「コイツはものじゃねえし、お前のもんでもない」
嫌味の一つも言いながら、それでも素直に受け取った。
首筋にはクッキリとヤツの付けた所有印が赤々と刻まれていた
「じゃあ、またね!」
ニッコリと微笑んで、優雅な仕草でトンと地面を蹴ると、ヤツは龍である証の翼で空に消えていった
「クソッ!」
一人悪態をついて、スノーをギュッと抱きしめた
「一体・・・なんなんだよ・・・」
今までにない自体だという事しか分からないまま、俺は彼女を抱きかかえて城で待つ姫のもとに向かった
もっとも華やかな色取り取りのドレスの中、黒ずくめの女が外に出て行くのだから、それはそれで目立つのかもしれないのだけれども
「・・・はぁ」
いくつもある中の、広間からは随分と離れた場所にあるバルコニーに出て、私は空を眺めた
嫌な事なんて全て忘れてしまいそうな位に綺麗な星達が瞬いている
彼は・・・俺が殺した
さっきからシルバの言葉が頭の中でエンドレスに響いている
「やっぱ・・・死んでんじゃん」
やけに声が震えた
星が段々と滲んでいく
耐え切れなくなって、しゃがみ込む
私は泣いた
外からも中からも見えないような隅で
小さく蹲って
声を殺して
その場で泣いた
泣き方なんて忘れていたと思っていたのに、そう簡単に忘れられるものじゃないんだと改めて思う
泣く事に気が済んで、その場に膝を抱えて蹲り、半ば放心状態でいると、大勢の足音が聞えてきた
儀式が終わったんだろう
何となく出辛くなって、その場にいることにした
どうせ見つからない
そう思っていたから余計に出ようと思わなかった
ま、この顔で出られないっていうのが9割方だけれど・・・
『素敵でしたわね』
『えぇ、本当に凛々しいお顔で・・・』
『流石、副騎士団長・・・いえ、もう騎士団長殿ね』
どうやらシルバの話をしているらしい。
決して中身を褒めているのではなく、外見のみを褒めている所がミソだな
そう思ったら、頬が緩んだ
『でも、今日はいつもより愁いを帯びたようなお顔でしたわね』
『そうねぇ。彼はいつもニコニコしているものね』
早く帰れと思うと同時に、彼女達の言葉に聞き耳を立てている自分もいる
『お嬢さん方、もう夜も遅いので早く帰って方がいいですよ』
聞き知った声がした
女達がキャアキャア言って、シルバと話している
こんな所を見られたら、また気を遣われてしまう
『それじゃあ、ごきげんようシルバ様』
誰かがそういうと、他の女達もそれぞれ口にして、踵の高い靴をカツカツと響かせて帰っていった
『シルバ、姫様がお呼びだぞ』
『ゲッ!何の用だよ・・・』
『つべこべ言わずにさっさと行け』
『俺、騎士団長になったんだから、もうちょっと優しくしてくれっての』
ブツブツ文句を言いながら、彼らは何処かへ行ってしまった
行ってしまった事を確認して、私はその場を後にする。
とりあえず、庭に出て気を紛らわせる。
さっきの事なんて忘れようと、庭を散歩した。
季節柄か、色々な花や蕾が色とりどりに庭を飾っていた
ふと気が付くと、庭の端の方へきていたようで、目の前には星が綺麗に映った湖が見えた
「キレイ・・・」
「あんまりそっち行くと危ないよ?」
「ッ!」
その声に慌てて振り向くと、そこには知らない人が立っていた
長い銀の髪 銀の瞳 真っ白な肌 長身の青年
燕尾服に映える、誰もが見とれるような美貌の持ち主
ただ、瞳には何処か冷たい光が映っていた
「・・・お城の・・・ヒト?」
自然と声がこわばった
「違うよ。俺は隣の国・・・と言ってもアルトじゃないけれど、その隣国からやってきたんだ」
「・・・龍族?」
驚いて声をあげると、彼は楽しそうにクスクスと笑っている
背筋に戦慄が走る。恐怖でその場から動けなくなった
「大丈夫だよ、何にもしないって。今日は面白そうな行事があるって聞いて見に来ただけ。君みたいなヒトに出会えるなんてラッキーかな。
あ、半分はヒトじゃないのかな?」
クスクスと笑うその人・・・いや龍は、一歩・・・また一歩と近づいてくる
私は同時に、一歩、また一歩と後ずさる
「ッ!」
「おっと・・・大丈夫?」
つまずいた私を支える彼は、心配そうに私を覗き込む
3メートルは離れていた距離を一瞬でつめる脅威の身体能力に私はなすすべをなくした
「そんなに怖がらないでよ。危害は加えないって・・・それに、半分は同じ種族でしょ?」
「違っ・・・」
何をイッテイルノ?
「あれ・・・・・・でも・・・あ、もしかして気づいてないの?そうか、そうか。じゃあ、仕方ないね」
なんだ、残念。
そういって、私から手を離す
私は動けない
蛇に睨まれた蛙なんて言われるんだろうけど、それどころの問題ではない
本当に動けない
逃げろと警鐘が鳴るけれど、どうしても動けない
「君、名前は?」
「・・・先に名乗りもしないのに他人に名前を聞くわけ?」
精一杯の強がり。彼はクスリと余裕の笑みを見せた
「あぁ、それもそうだね。俺はカイリ・・・人語用の名前でね。恩人の名前なんだ」
「カ・・・イリ・・・?」
名前を聞いた瞬間に、嫌な予感がした。
『僕はカイリ・・・君はだあれ?』
真っ赤な血に染まりながら、そのヒトは聞いた
そのヒトは、片手に血に濡れた剣を持ち、足元には真っ赤に染まった死体があって
綺麗に綺麗に嗤っていた
全身、血に濡れているのに、髪の毛だけが綺麗な金色に輝いていた
「そう、カイリ・・・聞いた事のある名前だった?」
私が知っているその人は・・・
「スノーッ!!??」
私が一歩後ろに退こうとした時に、私を呼ぶ声がして我に返る
カイリと名乗った龍の10m位後ろにシルバの姿が見えた
勢い良く走ってくる
「スノーって君の名前?いい名前だね。先代もやるなぁ」
「せん・・・だい?」
「そうだよ。君のお父さんは、俺達の元龍族長だったんだよ。まぁ、ヒトとの間に子供が出来て、殺されちゃったけどね。ちなみに殺したのは俺ね。」
「こんな所で何してるッ!」
シル・・・バ・・・
私はその声を聞いて、少し安心したと共に、耐え切れなくなって意識を手放しその場に崩れた
庭に誰かがいる。
その誰かに向かい合っているのは、スノーだ!
嫌な予感がして、彼女の名前を大声で呼んだ。
全力で彼女の元に走っていく
チラリと恐怖に固まる彼女の表情が見えた
まさか、何かされたのか!?
「何してるッ!」
俺が叫んだ途端に、スノーはその場に崩れ落ちそうになり、知らない誰かに支えられている。
「おい・・・貴様、こんな所で何をしている!スノーを放せ」
一瞬でヒトではない事に気づいた。
龍族か・・・
少し厄介だなと思いながらも、いつでも剣が抜けるようにしておく
目の前にいる龍族は、そんな事を気にも留めずにスノーを盾の様にして支えている
ただ、危害を加えようとは思っていないようだ
「俺、カイリ。君、この子の恋人?」
「違う。俺の主の大切な人だ」
「なあんだ。でも、好きなんでしょ?俺もこの子の事好きだよ?」
ヒトを見下すような視線でこっちを見てくるカイリ
「ねぇ、名前教えてよ。」
「・・・シルバ」
何を考えているか全く分からないこの男は、俺の名前を聞くと何か考える様に視線を上方に彷徨わせる
「うん、覚えた。あ、俺そろそろ帰らないと怒られるや」
そういうと、カイリはニヤリと笑って、俺の方を向かせていたスノーを自分の方に反転させる
「?」
「でも、スノーは'俺たち'の玩具だから傷なんか付けちゃダメだよ?」
そういうと、スノーの首筋に顔をうずめる
「オイッ!」
止めさせようと手を伸ばした瞬間、勝ち誇ったような視線で、俺を見てくるカイリ。未だに唇を其処から離そうとしない
「ッ!!」
瞬間、俺は剣を抜き一閃する。
ただ、当たらないのは分かっていた。
「危ないなぁ、この子を斬っちゃったらどうするの?」
スノーを抱えて瞬時に近くの木の枝に飛び移ったカイリは、クスクスと笑いながら言い、俺を見下す様に口端を歪めた
木の上からトンと優雅に地面に降りると、カイリは俺の方に歩いてきて、スノーを渡してくる
「このまま君をからかうのも面白そうだけれど、これ以上遊んでいると本当に怒られるからね。外出禁止になっちゃう。だから、今日は貸してあげる」
「コイツはものじゃねえし、お前のもんでもない」
嫌味の一つも言いながら、それでも素直に受け取った。
首筋にはクッキリとヤツの付けた所有印が赤々と刻まれていた
「じゃあ、またね!」
ニッコリと微笑んで、優雅な仕草でトンと地面を蹴ると、ヤツは龍である証の翼で空に消えていった
「クソッ!」
一人悪態をついて、スノーをギュッと抱きしめた
「一体・・・なんなんだよ・・・」
今までにない自体だという事しか分からないまま、俺は彼女を抱きかかえて城で待つ姫のもとに向かった
ニックネーム 邑稀 at 18:01| Comment(0)
| 蒼い月
2007年05月17日
Dance all night?
「・・・・・・」
そりゃあ、一国の夜会といえば、それはもう華やかなものだと聞いていたけれど、本当に華やかで・・・
私の格好が格好なだけに、一面の銀世界の中の黒いしみというか・・・
思いっきり目立っちゃいましたorz
「ごきげんよう、ライラ姫」
「ごきげんよう」
そんな会話が成り立っているのに、どうして痛いほどの視線を感じるのかな?
「それにしても、お美しい方ですわね。アルトの人だとお聞きしましたが・・・
ドレスが"地味"でも中身がいいと、よくお似合いですわね」
"地味"を強調されて言われたような気がしないでもないけれど、ニッコリ微笑んで流す
「あら、別に可愛い必要なんてありませんのよ?似合っていれば、それでいいと思います」
姫が私が言った言葉を自分流にアレンジして言ってくれた
「あ、そろそろ舞踏会になるわ!ねぇ、スノー?」
「なんです?」
小声で私に話しかけてくる姫に、同じように小声で聞き返す
「スノー、踊れる?」
「無理です。」
私の即答に残念そうにシュンとする姫。
「どうしてですか?」
「シルバがいじけてる」
「は?子供じゃあるまいし。しかも、彼はココじゃ人気じゃないですか。さっきから沢山の人から彼の名前が出てますよ?
その辺の美人と踊ればそのうち機嫌も直る気もしますけど・・・」
確かに、彼は顔がいい。軽い性格だから良く分からないけれど・・・
それから、剣の腕もいいらしいし。魔法は姫に負けるらしいけれど
「それが、さっきからいないの。スノーをえさにすれば直ぐに出てくるかなぁ?って思ったんだけれど・・・」
「え?私、えさ?今、餌って言った?」
「あははは、気にしない、気にしない。悪いのだけれど、ちょっと探してきてもらえないかな?私、この人達の相手をしなきゃいけないし、彼は今日の主役だし・・・」
「・・・(主役?)別にいいですけど」
「じゃあ、お願いね?」
ちょっと困った様に姫は私に言って、私は大広間を出た
大広間の喧騒はどこへ行ったのか、廊下やバルコニーは静かなものである。
バルコニーから下を見下ろすと、目当ての人間が一人でいた
「シルバさん、何やってるんですか?姫様、探していらっしゃいましたよ?」
「ッ!スノー・・・ちゃん」
驚いた様に私を見上げてくるシルバ
「今そこに行きますから、動いちゃダメですよ!?」
「はいは〜い!僕を捕まえてごら〜ん♪」
「それ、どこの浜辺か花畑のバカップルですか!」
急ぎ足で庭に出ると、既にシルバはいなかった
「・・・もう」
「そんなに怒ると、皺が増えちゃうよ?」
「!」
いないと思っていた人物が、後ろから話しかけてくる。勢い良く振り返ると、やっぱりシルバだった。
ちょっとムカついて、早足で彼の元に歩いていく
「ちょ・・・脅かさないで下さ――ッキャア!」
「危ないッ!」
芝生に足を取られて、転びそうになったところをシルバに支えてもらう
あぁ、王道だ・・・いや、ココでキスしないだけましか・・・
「大丈夫?」
「すいません・・・」
体勢を立て直して、シルバを見ると苦笑している
「・・・下町娘は、こんな格好慣れてないんです。笑わないでください。」
恥ずかしさをごまかす様に言うと、シルバは余計にクスクスと笑った
「ッ・・・ライラ姫が呼んでらっしゃいましたよ?何だか良く分からないですけど、今日の主役なんでしょう?」
「・・・主役、ねぇ。ちょっと昇進しただけだよ?」
「?ちょっとって、一体何になったんですか?」
「副騎士団長から騎士団長」
「・・・・・・それ、"ちょっと"ですか?」
「うん、"ちょっと"だよ」
苦笑しながら言った。
「・・・機嫌が悪いのは、それが原因ですか?シルバが拗ねてるって姫が困ってましたよ?」
「げ、後でま〜たいじめられんな・・・」
げんなりした様に肩を落とすシルバを見て、私は思わず笑った
「なんだよ、そこ笑うところじゃないぜ?」
「だって・・・なんか、シルバは姫を甘やかしてるんだなって」
「俺が?」
「うん・・・あと、なんだかシルバを見てると」
「なに、見てると・・・惚」
「私の兄を思い出します」
「・・・あっそ」
?どうしたんだろう
「・・・エイシアには、お兄さんがいるって話したことある?」
「あぁ・・・ありますよ。私の家族の安否を確かめるのも今回の目的の一つでもありますからね」
「安否?」
そうか、途中で一緒になったから知らないんだ。きっと、エイシアも忘れているだろうし
「私の家族、この国に来ている筈なんです。でも、連絡も来ないし、本当に来ているか不安で・・・。最悪、途中で何かに襲われている可能性もありますし」
「・・・スノーちゃんは一人だけ置いてけぼり?」
「まさか、私がソプラに行けって言った張本人ですよ。環境も悪化する一方でしたから、少しでもましな土地へ移住して欲しかったんです。
でも、多分いませんね。そんな気がします」
「そ・・・そんな事ないって!じゃあ、お兄さんの特徴を教えてよ。どんな人?」
「どんな・・・ですか?ん〜、色白で、身長はエイシアくらいですかね」
「へぇ、身長はエイシアか。俺より少〜し低いくらいか」
「そうですね。あと、髪の毛と眼の色は青で・・・」
「ッ・・・髪の毛、青なんだ」
?どこか様子がおかしいシルバ。心当たりでもあるんだろうか?
「どうかしたんですか?心当たりでも?」
「いや・・・えっと、名前はなんていうの?」
「?名前ですか・・・セレスですけど、やっぱり心当たりがあるんですね?」
苦笑しながら聞くと、シルバは青ざめた表情で口を開いた
「彼は・・・死んだよ」
「・・・そう・・・ですか」
私はそれ以上何も言えずに黙った。ある程度予感していた事。
この国に来た時から、なぜか感じていた不安はきっとこれだったんだろう
「彼は・・・俺が殺したんだ」
「ぇ・・・」
信じられない言葉を口にするシルバに、私は彼を凝視した
「彼らはモンスターに操られていたんだ。魔法を掛けられて。彼以外は既に死んでいたが、彼だけは瀕死の状態だった。最後の最後で、俺に言ったんだ。
妹に顔向けできないから、早く殺してくれ・・・って」
「ッ!!」
言葉が出なかった。
もっとも、言葉なんて何の意味もなさないだろうけれど
「その時、うちの騎士団長が大怪我を追って、俺がその後釜って訳。めでたくもなんともないだろ?」
明らかに自嘲して言うシルバ
「・・・でも、止めてくれてありがとうございました」
これは本当の気持ち。
兄が人を傷つけている所なんて見たくない
「君も変だね。親兄弟の仇に向かって"ありがとう"とは・・・」
「でも、そう思ったんですよ。私、兄が人を傷つけている所なんて見たくも無いし、想像だってしたくないし・・・」
その場面を想像する。力なく笑うと、シルバは困ってしまったようだった
「そんなことより、今日の主役を連れて行かないと私が怒られちゃいますよ!それだけは避けなきゃ!ほら、行きましょう!?」
私は、来たほうに向き直ってから、振り向き様にシルバを促した
「・・・スノーちゃんには適わないね」
「あ、それから・・・名前、呼び捨てにしてもらえません?ちゃんとか付けられると恥ずかしくて・・・///」
苦笑しながら言ったら、シルバはクスクスと笑っていた
「ねぇ、スノー?」
「なんですか?」
「大広間いったら、俺と踊って?」
「あ、無理です」
「む・・・ちょ、酷くねぇ?無理って言った?なぁ、今・・・"無理"って拒否したよな!?」
「だって、私・・・踊れませんもん」
悪びれる様子もなく私が言うと、彼はにやりと笑った
「じゃあ、練習しよう!」
「は?・・・ちょ・・・ッきゃあ!!」
急に後ろから腕を引っ張られて、転びそうになるところをシルバに支えられる
「な・・・何するんですか!」
「え?だって、スノーが踊れないって言うから、教えてあげようと思って」
これ以上ないくらいの極上の笑みを浮かべて言うシルバに対して、これ以上ないくらい嫌そうな顔をして答えた
「遠慮します!」
「まぁまぁ、そういわずに」
そういうや否や、シルバは私の腕をもう一度グイと自分の方に引き寄せる
「ちょ・・・///」
必要以上に近い気がして、恥ずかしい。
「いい?ダンスなんてフィーリングなんだから、適当に踊ればいいんだッ!」
「!?」
気が付くと、なぜか私はシルバに・・・振り回される様にクルクル回っている
「ちょ・・・転ぶからッ!!」
腕をずっとつかまれたまま、離れたり近づいたり、くるくる回ってみたり
なんとか、転ばない様にバランスを取るのが精一杯で、必死だった
「あはは、スノー可愛い!」
明らかに遊ばれている事は明白で・・・
それでも、私は反論できないほど転ばないようにするのに必死だった
それもどうなの?
「シルバッ!!!」
急に女性の声で一喝が入り、シルバの動きがピタリと止まって、それこそバランスを崩して転びそうになる
軽く支えられて、私はその場に座り込んでしまった
もの凄く疲れた・・・orz
「何・・・やっているの?」
その声に私は顔を上げると、私の前にはライラ姫が立っていた
「いや・・・ちょっと遊んで」
「言い訳は無用!!私のスノーに手を出したら絶対ただじゃおかないからね!」
「・・・・・・はい」
あのシルバが黙った。
「・・・スノー、怪我はない?」
「ぇ・・・あぁ、大丈夫です。ちょっと疲れたってだけで」
子供に心配されるのも情けない話で・・・
苦笑で返して、私は即座に立ち上がった
「すいません、つれていけなくて」
「いいのよ、コイツが全部悪いんだわ!そろそろ時間なんだから、早くしたくしていって頂戴!!」
どんなに鬼の形相で怒っても、こんなに可愛らしい子がやると全然怖くないんだよね・・・
「さっさと行って!」
「は〜い」
ライラ姫に全くめげる様子もなくケラケラと笑いながら、シルバは行ってしまった
「大丈夫?へんな事されなかった?」
「あ、大丈夫ですよ。されそうになったら、なんとしてでも逃げますか」
そういえば、どうして姫はこんなに目を掛けてくれるんだろう?
「じゃあ、行きましょう?」
ニコニコと笑うライラ姫に私は何も言わずに従った
そういえば、一緒にいたお姉さん達はどうしたんだろう?
そりゃあ、一国の夜会といえば、それはもう華やかなものだと聞いていたけれど、本当に華やかで・・・
私の格好が格好なだけに、一面の銀世界の中の黒いしみというか・・・
思いっきり目立っちゃいましたorz
「ごきげんよう、ライラ姫」
「ごきげんよう」
そんな会話が成り立っているのに、どうして痛いほどの視線を感じるのかな?
「それにしても、お美しい方ですわね。アルトの人だとお聞きしましたが・・・
ドレスが"地味"でも中身がいいと、よくお似合いですわね」
"地味"を強調されて言われたような気がしないでもないけれど、ニッコリ微笑んで流す
「あら、別に可愛い必要なんてありませんのよ?似合っていれば、それでいいと思います」
姫が私が言った言葉を自分流にアレンジして言ってくれた
「あ、そろそろ舞踏会になるわ!ねぇ、スノー?」
「なんです?」
小声で私に話しかけてくる姫に、同じように小声で聞き返す
「スノー、踊れる?」
「無理です。」
私の即答に残念そうにシュンとする姫。
「どうしてですか?」
「シルバがいじけてる」
「は?子供じゃあるまいし。しかも、彼はココじゃ人気じゃないですか。さっきから沢山の人から彼の名前が出てますよ?
その辺の美人と踊ればそのうち機嫌も直る気もしますけど・・・」
確かに、彼は顔がいい。軽い性格だから良く分からないけれど・・・
それから、剣の腕もいいらしいし。魔法は姫に負けるらしいけれど
「それが、さっきからいないの。スノーをえさにすれば直ぐに出てくるかなぁ?って思ったんだけれど・・・」
「え?私、えさ?今、餌って言った?」
「あははは、気にしない、気にしない。悪いのだけれど、ちょっと探してきてもらえないかな?私、この人達の相手をしなきゃいけないし、彼は今日の主役だし・・・」
「・・・(主役?)別にいいですけど」
「じゃあ、お願いね?」
ちょっと困った様に姫は私に言って、私は大広間を出た
大広間の喧騒はどこへ行ったのか、廊下やバルコニーは静かなものである。
バルコニーから下を見下ろすと、目当ての人間が一人でいた
「シルバさん、何やってるんですか?姫様、探していらっしゃいましたよ?」
「ッ!スノー・・・ちゃん」
驚いた様に私を見上げてくるシルバ
「今そこに行きますから、動いちゃダメですよ!?」
「はいは〜い!僕を捕まえてごら〜ん♪」
「それ、どこの浜辺か花畑のバカップルですか!」
急ぎ足で庭に出ると、既にシルバはいなかった
「・・・もう」
「そんなに怒ると、皺が増えちゃうよ?」
「!」
いないと思っていた人物が、後ろから話しかけてくる。勢い良く振り返ると、やっぱりシルバだった。
ちょっとムカついて、早足で彼の元に歩いていく
「ちょ・・・脅かさないで下さ――ッキャア!」
「危ないッ!」
芝生に足を取られて、転びそうになったところをシルバに支えてもらう
あぁ、王道だ・・・いや、ココでキスしないだけましか・・・
「大丈夫?」
「すいません・・・」
体勢を立て直して、シルバを見ると苦笑している
「・・・下町娘は、こんな格好慣れてないんです。笑わないでください。」
恥ずかしさをごまかす様に言うと、シルバは余計にクスクスと笑った
「ッ・・・ライラ姫が呼んでらっしゃいましたよ?何だか良く分からないですけど、今日の主役なんでしょう?」
「・・・主役、ねぇ。ちょっと昇進しただけだよ?」
「?ちょっとって、一体何になったんですか?」
「副騎士団長から騎士団長」
「・・・・・・それ、"ちょっと"ですか?」
「うん、"ちょっと"だよ」
苦笑しながら言った。
「・・・機嫌が悪いのは、それが原因ですか?シルバが拗ねてるって姫が困ってましたよ?」
「げ、後でま〜たいじめられんな・・・」
げんなりした様に肩を落とすシルバを見て、私は思わず笑った
「なんだよ、そこ笑うところじゃないぜ?」
「だって・・・なんか、シルバは姫を甘やかしてるんだなって」
「俺が?」
「うん・・・あと、なんだかシルバを見てると」
「なに、見てると・・・惚」
「私の兄を思い出します」
「・・・あっそ」
?どうしたんだろう
「・・・エイシアには、お兄さんがいるって話したことある?」
「あぁ・・・ありますよ。私の家族の安否を確かめるのも今回の目的の一つでもありますからね」
「安否?」
そうか、途中で一緒になったから知らないんだ。きっと、エイシアも忘れているだろうし
「私の家族、この国に来ている筈なんです。でも、連絡も来ないし、本当に来ているか不安で・・・。最悪、途中で何かに襲われている可能性もありますし」
「・・・スノーちゃんは一人だけ置いてけぼり?」
「まさか、私がソプラに行けって言った張本人ですよ。環境も悪化する一方でしたから、少しでもましな土地へ移住して欲しかったんです。
でも、多分いませんね。そんな気がします」
「そ・・・そんな事ないって!じゃあ、お兄さんの特徴を教えてよ。どんな人?」
「どんな・・・ですか?ん〜、色白で、身長はエイシアくらいですかね」
「へぇ、身長はエイシアか。俺より少〜し低いくらいか」
「そうですね。あと、髪の毛と眼の色は青で・・・」
「ッ・・・髪の毛、青なんだ」
?どこか様子がおかしいシルバ。心当たりでもあるんだろうか?
「どうかしたんですか?心当たりでも?」
「いや・・・えっと、名前はなんていうの?」
「?名前ですか・・・セレスですけど、やっぱり心当たりがあるんですね?」
苦笑しながら聞くと、シルバは青ざめた表情で口を開いた
「彼は・・・死んだよ」
「・・・そう・・・ですか」
私はそれ以上何も言えずに黙った。ある程度予感していた事。
この国に来た時から、なぜか感じていた不安はきっとこれだったんだろう
「彼は・・・俺が殺したんだ」
「ぇ・・・」
信じられない言葉を口にするシルバに、私は彼を凝視した
「彼らはモンスターに操られていたんだ。魔法を掛けられて。彼以外は既に死んでいたが、彼だけは瀕死の状態だった。最後の最後で、俺に言ったんだ。
妹に顔向けできないから、早く殺してくれ・・・って」
「ッ!!」
言葉が出なかった。
もっとも、言葉なんて何の意味もなさないだろうけれど
「その時、うちの騎士団長が大怪我を追って、俺がその後釜って訳。めでたくもなんともないだろ?」
明らかに自嘲して言うシルバ
「・・・でも、止めてくれてありがとうございました」
これは本当の気持ち。
兄が人を傷つけている所なんて見たくない
「君も変だね。親兄弟の仇に向かって"ありがとう"とは・・・」
「でも、そう思ったんですよ。私、兄が人を傷つけている所なんて見たくも無いし、想像だってしたくないし・・・」
その場面を想像する。力なく笑うと、シルバは困ってしまったようだった
「そんなことより、今日の主役を連れて行かないと私が怒られちゃいますよ!それだけは避けなきゃ!ほら、行きましょう!?」
私は、来たほうに向き直ってから、振り向き様にシルバを促した
「・・・スノーちゃんには適わないね」
「あ、それから・・・名前、呼び捨てにしてもらえません?ちゃんとか付けられると恥ずかしくて・・・///」
苦笑しながら言ったら、シルバはクスクスと笑っていた
「ねぇ、スノー?」
「なんですか?」
「大広間いったら、俺と踊って?」
「あ、無理です」
「む・・・ちょ、酷くねぇ?無理って言った?なぁ、今・・・"無理"って拒否したよな!?」
「だって、私・・・踊れませんもん」
悪びれる様子もなく私が言うと、彼はにやりと笑った
「じゃあ、練習しよう!」
「は?・・・ちょ・・・ッきゃあ!!」
急に後ろから腕を引っ張られて、転びそうになるところをシルバに支えられる
「な・・・何するんですか!」
「え?だって、スノーが踊れないって言うから、教えてあげようと思って」
これ以上ないくらいの極上の笑みを浮かべて言うシルバに対して、これ以上ないくらい嫌そうな顔をして答えた
「遠慮します!」
「まぁまぁ、そういわずに」
そういうや否や、シルバは私の腕をもう一度グイと自分の方に引き寄せる
「ちょ・・・///」
必要以上に近い気がして、恥ずかしい。
「いい?ダンスなんてフィーリングなんだから、適当に踊ればいいんだッ!」
「!?」
気が付くと、なぜか私はシルバに・・・振り回される様にクルクル回っている
「ちょ・・・転ぶからッ!!」
腕をずっとつかまれたまま、離れたり近づいたり、くるくる回ってみたり
なんとか、転ばない様にバランスを取るのが精一杯で、必死だった
「あはは、スノー可愛い!」
明らかに遊ばれている事は明白で・・・
それでも、私は反論できないほど転ばないようにするのに必死だった
それもどうなの?
「シルバッ!!!」
急に女性の声で一喝が入り、シルバの動きがピタリと止まって、それこそバランスを崩して転びそうになる
軽く支えられて、私はその場に座り込んでしまった
もの凄く疲れた・・・orz
「何・・・やっているの?」
その声に私は顔を上げると、私の前にはライラ姫が立っていた
「いや・・・ちょっと遊んで」
「言い訳は無用!!私のスノーに手を出したら絶対ただじゃおかないからね!」
「・・・・・・はい」
あのシルバが黙った。
「・・・スノー、怪我はない?」
「ぇ・・・あぁ、大丈夫です。ちょっと疲れたってだけで」
子供に心配されるのも情けない話で・・・
苦笑で返して、私は即座に立ち上がった
「すいません、つれていけなくて」
「いいのよ、コイツが全部悪いんだわ!そろそろ時間なんだから、早くしたくしていって頂戴!!」
どんなに鬼の形相で怒っても、こんなに可愛らしい子がやると全然怖くないんだよね・・・
「さっさと行って!」
「は〜い」
ライラ姫に全くめげる様子もなくケラケラと笑いながら、シルバは行ってしまった
「大丈夫?へんな事されなかった?」
「あ、大丈夫ですよ。されそうになったら、なんとしてでも逃げますか」
そういえば、どうして姫はこんなに目を掛けてくれるんだろう?
「じゃあ、行きましょう?」
ニコニコと笑うライラ姫に私は何も言わずに従った
そういえば、一緒にいたお姉さん達はどうしたんだろう?
ニックネーム 邑稀 at 20:22| Comment(0)
| 蒼い月
2007年05月15日
お姫様と私
「お初にお目にかかります、隣国より参りましたスノーと申します」
「うむ、エイシアとライラから話は聞いておる。楽にしてよい」
言われて私は少し肩の力を抜いた
「国王陛下、隣国の異常事態ですが、ただならぬ雰囲気でした。しかも、モンスターか龍が暴れたような跡も・・・」
「うむ・・・それで、そのスノーをつれてきた意図は何だ?」
「・・・彼女は強大な魔力を持っております。今はまだ全く使えませんが、使えるようになれば、アルトだって――・・・」
「安泰・・・か?」
「・・・それに、魔力が暴走した時の事を考えれば、用心するに越した事は無いかと」
ちらりとこちらを見てエイシアがいった。いつか聞いた言葉そのままな気がする
「まぁ、魔力を持っている人間としては魔法を使えることに越した事は無いが・・・
ただ危険に巻き込んでいるだけの様な気がしてなぁ」
どうやら私を気遣っての言葉らしい
そういえば、いつの間にかシルバとライラ姫の姿が見えないことに気がつく
「・・・・・・まぁ、2〜3ヶ月程度だったら、ライラの復習も兼ねて付けてもいいが」
「あの・・・ご迷惑なら直ぐにでも国に帰ります。」
「いや、迷惑とかじゃないんだ。ただ、君が・・・いや、エイシアのいう事も一理あるな。よし、君には頑張って魔力をコントロールできる様になってもらおう」
どこか、自問自答気味に国王は言った
「お父様!お話はもう終わり?」
いつの間に国王の後ろにいたのか、後ろから国王に飛びついて肩越しに聞くライラ姫
「ライラ・・・いい娘だからもう少し待っていなさい」
「え〜!?」
困った様に国王は言うと、姫をおろして下がらせる
「スノー、アレがうるさいから話は明日だ。さっきから終われ終われとうるさいからな。それから今日は、夜会があるんだ。ライラも楽しみにしているから、一緒に出てやってくれないか?」
「はッ!?」
流石の私もそう来るとは思わず、声をあげてしまった
「あぁ、夜会用の服はこちらで用意するから平気だ。それに、頼まなくてもライラが選んでくれるだろうよ」
「いや・・・あの、私・・・貴族じゃないですし?」
焦って、なぜか半疑問系で答える
「諦めたほうがいいんじゃないか?」
小声でエイシアが私に言った
「でも――・・・場違いにも程が・・・」
「あぁ、その辺で大人しくしていればバレないよ。」
「お父様、もういい?」
「あぁ、好きにしなさい。その代わり、夜会には絶対に出席するんだよ?」
「は〜い!スノーと出ま〜す!」
ちょ・・・そんな勝手に(;・△・)ノ
「じゃあ、ドレスを選びましょう?」
「いや、私は―・・・」
「スノーは嫌?」
「ゔ・・・」
そんな可愛いお顔で、目を潤ませて上目遣いにおねだりされたら・・・
「嫌・・・じゃ、ないですorz」
いう事聞くしかないじゃない?
「こっち、こっち!」
そういって、私は引きずられる様に謁見の間を出て行った。
途中で怪訝そうな表情のシルバが目に入ったのが気になったけれど・・・
☆ □ ☆ □ ☆ □ ☆ □ ☆ □ ☆ □
「う〜ん・・・じゃあ、これ!」
「もう、何でもいいですよ。」
「ダメよ!私のお友達としてみんなに紹介するんだから!」
「どうして紹介するんですか!私、貴族でもなんでもないんですよ!?」
「だって・・・女の子のお友達なんて初めてなんだもん」
「え・・・でも、他にもいらっしゃるでしょう?」
淋しそうに俯く姫をなだめる様に言うと、だって・・・と小さく答えた
「私は王家の人間だから、貴族としか付き合えないの。でも、貴族の人間なんて私に取り入ってばかりでつまらないんだもの・・・」
「姫・・・・・・姫は今夜、何を着るんですか?」
なんて言っていいか分からずに、私は話題を変えた
「私は、今日は薄いピンクの可愛いドレス!」
「可愛いじゃないですか!じゃあ私は・・・これがいいです」
シンプルな・・・いや、ココまで来ると地味の領域に入ってくるドレスを手にして言うと、あからさまに嫌な顔をするライラ姫
「そんなの可愛くない!」
「別に可愛い必要なんてないですよ。可愛いのは姫だけで十分です。着こなしゃいいんですよ、着こなすしゃ!」
私がニヤリと笑うと、彼女はキョトンとしていた。
「姫さま、そろそろお時間なので、お着替えを」
侍女が着てそう告げると、渋々ながらお気に入りと見られる今日の服を指定して出て行った。
「さぁ、スノー様も」
もう一人の侍女が私を着替える部屋へと連れて行く
まず、髪を結ってもらい、それから着替える
「・・・・・・かわいい」
「きれい・・・」
私と姫の言葉が重なった
そのことに、クスクスと私も姫も一緒に笑った
「可愛らしゅうございますわよ、姫様」
「スノーもお綺麗ですわ」
そういって、また笑う。
(・△・;)まって!
それって、私が10歳前後の子と精神年齢が違わないって事!?
「そういえば、姫様はおいくつでいらっしゃるんですか?」
「私は13よ。」
13歳と精神年齢一緒か・・・
「どうしたの?」
「いえ・・・なんでもありません。それより」
私はさっきから気になっていたことを聞くことにした
「どうして、さっきからあの二人はあそこで立っているんですか?」
「あぁ、エイシアは私のエスコート役に私が大抜擢してあげたの。エイシアはね、私の世話役みたいなものでもあるのよ。シルバはただの覗き」
「覗きって・・・」
あぁ・・・でも、いつもこんなドレスなんて着る機会がないし、ハイヒールも履かないから、歩きづらくて仕方がない
「シルバはスノーを気に入っているから、絶対!エスコートなんてさせてあげないの!」
「どうしてそんなにライバル意識持ってるんですか?」
「ライバルなんかじゃないわ!でもね、魔法じゃ負けないのに、剣術は1度も勝った事ないのよ!?悔しいじゃない!」
「それで・・・という事は、1度も負けてあげたことがないって事か・・・大人気ないなぁ・・・」
「そう思うでしょ?ねぇ、スノーだってそう思うでしょ?」
ふわふわのドレスを着たまま地団駄を踏む姫は凄いなぁと心底思いながら、私はなだめにかかろうとすると、後ろから声が聞えた
「姫、その格好で暴れるなんてはしたないですよ、止めてください」
その声の主は、世話役のエイシアで・・・
「何よぅ・・・いいじゃない、動けるんだから」
「そういう問題ではありません。それに、ほら・・・時間ですから、もう行きますよ」
そういって、エイシアが手を出すと、仕方無といった様子で姫は手を取る
身長差からして、歳の離れた兄弟のようだ
「じゃあ、俺はスノーちゃんと―・・」
「スノー!」
シルバの言葉を遮る様に姫は私の名前を呼んだ。
開いたほうの手を私に向けて伸ばしている
どうやら、こっちを持てという事らしい
「ひどっ!」
「シルバ・・・ごめんなさいね?」
苦笑しつつ、私は姫の手を取る
姫はご満悦な様子で足取りも軽かった
「うむ、エイシアとライラから話は聞いておる。楽にしてよい」
言われて私は少し肩の力を抜いた
「国王陛下、隣国の異常事態ですが、ただならぬ雰囲気でした。しかも、モンスターか龍が暴れたような跡も・・・」
「うむ・・・それで、そのスノーをつれてきた意図は何だ?」
「・・・彼女は強大な魔力を持っております。今はまだ全く使えませんが、使えるようになれば、アルトだって――・・・」
「安泰・・・か?」
「・・・それに、魔力が暴走した時の事を考えれば、用心するに越した事は無いかと」
ちらりとこちらを見てエイシアがいった。いつか聞いた言葉そのままな気がする
「まぁ、魔力を持っている人間としては魔法を使えることに越した事は無いが・・・
ただ危険に巻き込んでいるだけの様な気がしてなぁ」
どうやら私を気遣っての言葉らしい
そういえば、いつの間にかシルバとライラ姫の姿が見えないことに気がつく
「・・・・・・まぁ、2〜3ヶ月程度だったら、ライラの復習も兼ねて付けてもいいが」
「あの・・・ご迷惑なら直ぐにでも国に帰ります。」
「いや、迷惑とかじゃないんだ。ただ、君が・・・いや、エイシアのいう事も一理あるな。よし、君には頑張って魔力をコントロールできる様になってもらおう」
どこか、自問自答気味に国王は言った
「お父様!お話はもう終わり?」
いつの間に国王の後ろにいたのか、後ろから国王に飛びついて肩越しに聞くライラ姫
「ライラ・・・いい娘だからもう少し待っていなさい」
「え〜!?」
困った様に国王は言うと、姫をおろして下がらせる
「スノー、アレがうるさいから話は明日だ。さっきから終われ終われとうるさいからな。それから今日は、夜会があるんだ。ライラも楽しみにしているから、一緒に出てやってくれないか?」
「はッ!?」
流石の私もそう来るとは思わず、声をあげてしまった
「あぁ、夜会用の服はこちらで用意するから平気だ。それに、頼まなくてもライラが選んでくれるだろうよ」
「いや・・・あの、私・・・貴族じゃないですし?」
焦って、なぜか半疑問系で答える
「諦めたほうがいいんじゃないか?」
小声でエイシアが私に言った
「でも――・・・場違いにも程が・・・」
「あぁ、その辺で大人しくしていればバレないよ。」
「お父様、もういい?」
「あぁ、好きにしなさい。その代わり、夜会には絶対に出席するんだよ?」
「は〜い!スノーと出ま〜す!」
ちょ・・・そんな勝手に(;・△・)ノ
「じゃあ、ドレスを選びましょう?」
「いや、私は―・・・」
「スノーは嫌?」
「ゔ・・・」
そんな可愛いお顔で、目を潤ませて上目遣いにおねだりされたら・・・
「嫌・・・じゃ、ないですorz」
いう事聞くしかないじゃない?
「こっち、こっち!」
そういって、私は引きずられる様に謁見の間を出て行った。
途中で怪訝そうな表情のシルバが目に入ったのが気になったけれど・・・
☆ □ ☆ □ ☆ □ ☆ □ ☆ □ ☆ □
「う〜ん・・・じゃあ、これ!」
「もう、何でもいいですよ。」
「ダメよ!私のお友達としてみんなに紹介するんだから!」
「どうして紹介するんですか!私、貴族でもなんでもないんですよ!?」
「だって・・・女の子のお友達なんて初めてなんだもん」
「え・・・でも、他にもいらっしゃるでしょう?」
淋しそうに俯く姫をなだめる様に言うと、だって・・・と小さく答えた
「私は王家の人間だから、貴族としか付き合えないの。でも、貴族の人間なんて私に取り入ってばかりでつまらないんだもの・・・」
「姫・・・・・・姫は今夜、何を着るんですか?」
なんて言っていいか分からずに、私は話題を変えた
「私は、今日は薄いピンクの可愛いドレス!」
「可愛いじゃないですか!じゃあ私は・・・これがいいです」
シンプルな・・・いや、ココまで来ると地味の領域に入ってくるドレスを手にして言うと、あからさまに嫌な顔をするライラ姫
「そんなの可愛くない!」
「別に可愛い必要なんてないですよ。可愛いのは姫だけで十分です。着こなしゃいいんですよ、着こなすしゃ!」
私がニヤリと笑うと、彼女はキョトンとしていた。
「姫さま、そろそろお時間なので、お着替えを」
侍女が着てそう告げると、渋々ながらお気に入りと見られる今日の服を指定して出て行った。
「さぁ、スノー様も」
もう一人の侍女が私を着替える部屋へと連れて行く
まず、髪を結ってもらい、それから着替える
「・・・・・・かわいい」
「きれい・・・」
私と姫の言葉が重なった
そのことに、クスクスと私も姫も一緒に笑った
「可愛らしゅうございますわよ、姫様」
「スノーもお綺麗ですわ」
そういって、また笑う。
(・△・;)まって!
それって、私が10歳前後の子と精神年齢が違わないって事!?
「そういえば、姫様はおいくつでいらっしゃるんですか?」
「私は13よ。」
13歳と精神年齢一緒か・・・
「どうしたの?」
「いえ・・・なんでもありません。それより」
私はさっきから気になっていたことを聞くことにした
「どうして、さっきからあの二人はあそこで立っているんですか?」
「あぁ、エイシアは私のエスコート役に私が大抜擢してあげたの。エイシアはね、私の世話役みたいなものでもあるのよ。シルバはただの覗き」
「覗きって・・・」
あぁ・・・でも、いつもこんなドレスなんて着る機会がないし、ハイヒールも履かないから、歩きづらくて仕方がない
「シルバはスノーを気に入っているから、絶対!エスコートなんてさせてあげないの!」
「どうしてそんなにライバル意識持ってるんですか?」
「ライバルなんかじゃないわ!でもね、魔法じゃ負けないのに、剣術は1度も勝った事ないのよ!?悔しいじゃない!」
「それで・・・という事は、1度も負けてあげたことがないって事か・・・大人気ないなぁ・・・」
「そう思うでしょ?ねぇ、スノーだってそう思うでしょ?」
ふわふわのドレスを着たまま地団駄を踏む姫は凄いなぁと心底思いながら、私はなだめにかかろうとすると、後ろから声が聞えた
「姫、その格好で暴れるなんてはしたないですよ、止めてください」
その声の主は、世話役のエイシアで・・・
「何よぅ・・・いいじゃない、動けるんだから」
「そういう問題ではありません。それに、ほら・・・時間ですから、もう行きますよ」
そういって、エイシアが手を出すと、仕方無といった様子で姫は手を取る
身長差からして、歳の離れた兄弟のようだ
「じゃあ、俺はスノーちゃんと―・・」
「スノー!」
シルバの言葉を遮る様に姫は私の名前を呼んだ。
開いたほうの手を私に向けて伸ばしている
どうやら、こっちを持てという事らしい
「ひどっ!」
「シルバ・・・ごめんなさいね?」
苦笑しつつ、私は姫の手を取る
姫はご満悦な様子で足取りも軽かった
ニックネーム 邑稀 at 18:06| Comment(0)
| 蒼い月









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